星を掴んだ【松川一静】 (ページ6)

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「でさー、名前しか聞いてない！って後悔してたら」

「まさかの同じ会社」

「しかも、まさかの同い年っていうね」

「ちょ、それどういう意味」

「一静が大人っぽいってこと」

「……ま、いっか」

今でも鮮明に思い出すあの日のことを

いつか遠い昔の事のように思う日が来るのかな…

なんて、少し、目を細めた。

結局あれから俺たちは

ある日突然の再会を果たし、

同じ職場だったという事を初めて知り、

顔を合わせれば話すようになって、

お互いを少しずつ意識し出して、

それから、それから………

「ねえ一静」

「ん？」

「私を選んでくれて、ありがとう」

空を見つめていたその目を

今度は、俺の方へ向けたA。

彼女はその目できっと

小さい頃から星を眺めては、

『掴みたい』と思ってきたのだろう。

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「ばーか」

「え？ちょ、なにそれ！」

「Aしかいないよ。」

「……なっ、」

「A、絶対、幸せにするから」

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そんな

昔の自分だったらクサいと思うであろう言葉さえ

簡単に言えてしまう俺は、あの頃とは変わった。

きっと、Aに変えられたんだ。

河川敷の景色。

よく見たらきっと、変わっている所なんて

星の数ほどあるのだろう。

でも、何も変わらずそこにあるものも、確かにあった。

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今日は一日中、雲のない青空だった。

そのせいか隠れることなく、星が輝きを見せる。

ポロポロ泣いているAの手を握って

明日も晴れることを、願った。

「……ｯ、絶対、だよ？」

「………もちろん」

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___Fin.

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