じゃんぷ夢小説５ (ページ1)

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【岡本語り】

「……鬱、状態……」

言葉くらいは知っていた。

どんなものかも、なんとなくはわかる。

だけど、理解する、というのはまたもう１段階先の話で。

「ごめん、飯食いながらする話じゃねえな」

そう言って、やまちゃんは少し寂しそうに笑った。

「ううん、いい。話して？」

―――昨日、やまちゃんは。
光くんの主治医の方に会って、話をしたそうだ。

入院から、早二週間。

光くんは、中程度の鬱状態というのが大方の見方らしい。

睡眠薬の乱用、そして、うまく眠れていない期間が長かったことで体力が落ちている……などの問題はあるけれど、根本的なその鬱状態を改善することが一番大切で。

「それで……どうしたらいいの？俺たち……」

まさかなにもないなんて言わないよね、なんて不安を頭の片隅に抱きつつ、尋ねる。

「うん。それが、ね。

……今一番必要なのは、“自分と向き合うこと”なんだって。」

「向き合う……？」

――俺の頭上には、わかりやすくハテナマークが浮かんでいる気がする。

「……そ。」

やまちゃんは、静かにフォークを置いて。

「自分の弱さを弱さとして、苦しさを苦しさとして、受け入れること。
今の光くんはそれができなくて、自分でもわけがわからないまま、負担や、ストレスが積もり積もって、大爆発。」

―――ああ、

なんとなく、わかるような気もする

だけど、それって……

「、辛いよね……？すごく……」

「……うん」

その声は、少しだけうわずっていた。

―――少しの沈黙のあと、やまちゃんから発せられたのは、１つの希望。

「人によっては、そのときには周りの誰にも会わずに、本当に一人の時間を作って、ゆっくりするってのも解決法らしい。
でも、光くんはそうじゃないと思う、って、お医者さんが。」

「……え？」

「今は、少し気持ちが落ち着いてるみたい。
だけど、まだ、自分で考えたり、笑ったり、泣いたりがうまくいってない。
そういう感情を取り戻して、自分に向き合うためにはね、信頼できる人が傍で、寄り添えるといい……だって」

そして少しだけ、いたずらっぽく笑って、続ける。

「、俺もそー思う。」

泣き笑いの笑顔には、少しだけヒカリが見えて。