じゃんぷ夢小説４ (ページ50)

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【八乙女語り】

―――ああ、

今日は、何かが違う

ここへ来て、もう何度目かの朝。

やけに早い時間からやってきたあいつはBECK全34巻を抱えて。
ヨタヨタと病室のソファに座った。

「よっ、と」

「……なに」

「なにって!お見舞い!
人生初、大人買い!」

自慢気に、ニヤリと笑う。

「……俺持ってんだけど」

「知ってるわ!だって光んち入って持ってくるわけにいかねーし!
だからこれは俺の。退院するまでお前に貸す!」

「、え……」

―――何故、だろう

薮の笑顔が、いやに胸に刺さる。

「ここ置いとくなー!」

そう言って、病室の棚にBECKを並べ始める薮。

「……」

鼻唄まで歌いながら。

―――どうして、

喉まで出かかった“ありがとう”は、なぜだかそこで止まってしまった。

それは、きっと。

もう１つの想いが一緒に飛び出してしまうのが、怖いから。

“助けて……”

「光、さあ……」

「、え」

本棚の整理を終えた薮が、ぽつりと呟いて。

真っ直ぐな瞳で俺を見据えると、ベッドの隣にゆっくり歩み寄る。

―――鼓動が、早い

「……な、に」

「……うん、あの、さ？
今日は、ちゃんと話そうと思ってきた。
」

―――ああ、

今までずっと、側にいたはずなのに。

どうしても、薮の目を見るのが怖い。

「……お前のこと、なにもわかってなくて、悪かった。」

「……え」

少し震えた声でそう言うと、また、笑って見せて。

「マジで、焦った、から……。お前が倒れたって聞いたときも、死のうとしてたって、聞いた、ときも……」

無理に作った笑顔は、みるみるうちに歪んで。
ぽろり、こぼれ落ちた涙。

「だから、……生きてて、良かった、本当に……」

こんなに顔をぐちゃぐちゃにして泣く薮を見るのは初めてで。

なんだかうまく働かない思考の中、その原因を作ったのが自分であるという現実に胸が痛む。

「……や、ぶ」

伝えたい思いは、あるはずなのに……―――

言葉に、できない

「っ……、あ……」

―――どうし、て…

どうして、どうし、て……!

「光」

凛とした声に、はっとする。

震えた手は、しっかり繋がれていた。

「……いい。なにも言わなくて。
たださ、１個だけ。
……今すぐじゃなくていい、から。
いつかJUMPに、戻ってくれる……？」

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ほんと気まぐれ更新ですみませぬ