じゃんぷ夢小説４ (ページ42)

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【山田語り】

「……っ、あれ」

目を覚ますと、視界に一瞬広がった格子柄の天井。

その上からす、っと人影が被さった。

「っえ、薮ちゃん？!」

驚いて飛び起きると、薮ちゃんが焼き鳥片手にニィ、っと笑う。

「えっ、えっ、なんで薮ちゃん？!」

「なんだよー、驚きすぎ」

ケラケラ笑う薮ちゃんに目を丸くしていると、反対側からも声がして。

「僕が呼んだんだよ、涼介全然起きないから」

そう言って口を尖らせる知念。

「飯頼んじゃったから一人じゃ食えない!ってお呼び出しですよ笑」

「もーこういうときに限って圭人は全然捕まらないし、しょーがないから」

「なんだよそれー」

２人の口喧嘩を見ながら、ぼんやりとした頭を整理する。

「えーっと……、俺、寝てた？」

「ハア？今更？」

知念が片眉を上げる。

―――どうやら俺は、泣きながら寝てしまったらしい。

急に恥ずかしくなって、頬が熱くなるのを感じる。

「わ、ちょ、マジで……」

「まあまあ、それより山田これうめーよ、食ってみ？」

ずい、っと薮ちゃんに渡された唐揚げは、レモンの香りがした。

「……うめっ」

「だろ？」

「ちょっと宏太それ僕の分!」

「え゛っ、マジで？!」

本気で怒りオーラを放つ知念と、怯える薮ちゃん。
なんだかすごく笑えてきて。

「ごめん、ごめん。もう一皿頼もう？
俺出すから」

「……さっすが涼介。もう宏太なんて呼ばないから!」

「あー、マジ地味にへこむわ笑」

―――――

そんな他愛ない話をしながら１時間が過ぎた頃。

そろそろ帰ろうか、なんて呟いた薮ちゃんが、ごそごそとカバンを探しながら言った。

「頼みが、ある」

「え？」

上着を羽織っていた知念も手を止め、席に座り直す。

「ああ、いやそんな顔しなくていいの。明るい話。」

じっと見つめる俺たちにたじろいで、薮ちゃんは少しだけ笑った。

「……なに？」