じゃんぷ夢小説２ (ページ31)

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届かないページ31

「「え、竜巻？!」」

2人の声が重なる

――あと一歩が、届かない。

アンドレの船に拾われた薮と伊野尾は、無事に鹿児島の港まで送り届けられた。

到着後その足で警察に駆け込むと、入口の警備員が、まるで信じ難いものを見たような顔で二度見、三度見……

JUMPが乗る船が海の上で忽然と姿を消し、早6日が過ぎようとしていた。

世間では、船の故障による漂流や転覆など様々な可能性が取りざたされていたが、もはや生存は絶望的、海に消えた悲劇のアイドルとして報道されていたとのこと。

警察からの連絡で駆けつけた事務所のスタッフも、2人の無事な姿に驚き、涙した。

到着後開口一番仲間の救助を願い出たことで、すぐに救出部隊が編成された。

アンドレの協力もあり、2人が乗り捨てた船の場所もおおよそ特定され、伊野尾のビデオ作戦も功を奏して、6人が取り残されている島の場所も見当がついた。――やはり、地図にない島らしい

そこまで聞いた2人は安堵し、事務所スタッフに連れられ病院に検査入院する運びとなったのだが、半日が過ぎても一向になんの進展もない。

業を煮やした薮が、様子を見に来たスタッフを問い質すと、返ってきたのは、思いもよらない答え。

“島付近に大型台風が近付いており、竜巻警報が出ている”

だから、船もヘリも、近付けないのだと…――――

嵐がやんだら、すぐに救助に行ってくれるそうだから、と付け加えると、スタッフは慌ただしく部屋を出ていった。

2人残された部屋に、沈黙が流れる。

「―――――…っ」

点滴がついた右腕で、拳をベットに打ち付ける薮。

「ちくしょう…―――」

唇を噛み締め、涙を堪えるその姿に、伊野尾も悔しさを滲ませた。

自分を犠牲にしてでもメンバーを守ろうとしていた薮の、今の悔しさと歯がゆさは痛いほどわかる。
だが、どうすることもできないのだ。

―――こんなのって、ある…？

ああ、泣くなよ俺。

薮だって我慢してるんだ…
泣かない、泣かない……

「伊野尾？」

穏やかな声に、伊野尾は驚いて顔をあげた。

「すげー顔してんぞ？鏡見てみ？」

そう言って笑う薮は、いつもの薮だった。

「だいじょーぶ、だよ。あいつらは。」

――――ああ、敵わないな、薮には。

堪えていたものが、溢れ落ちる。