じゃんぷ夢小説２ (ページ18)

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やまゆとページ18

―誰一人、言葉を発することができなかった。

裕翔と山田はすっかり呆然自失。
唯一勇ましかったはずの圭人も、裕翔の無事を確認したと同時に、へなへなと座り込んだ。

そうしてどれ程経っただろうか。
ようやく圭人が、今ここで起きたことを思い出したように、言った。

「裕翔、大丈夫？」

名前を呼ばれて我に返ったらしい裕翔も、ようやく自我を取り戻した。

「う、うん…大丈夫…
ありがとう、圭人、やま…」

幸い、大きな怪我はないようだった。
二人の声を聞き、山田の時計もようやく動き出した。

「ゆう、と…」

「やま、ごめん、俺…――――」

言い過ぎた、
そう伝えたかった。

だが、歩み寄った裕翔から、山田は思わず目を背けていた。

許していないわけではない。むしろ謝るべきは自分であることも知っていた。
――――向き合うのが怖かった。

“すっかり雪解けだね”
ライターさんや番組のスタッフさんからよく言われるようになったのは、ほんの数年前こと。
それまでの二人の関係は、巷では氷河期と称されていたが、実は山田側の壁は、ほとんど無かった。

ライバル意識は勿論あった。
それゆえの壁は確かに存在していたし、若かりし頃、つまらない言い合いで疎ましく思ったことは数えきれないほどあった。
その反面、多趣味で多才で、まっすぐな―自分と対局にいる―裕翔は、山田にとって気になる存在でもあったのだ。
だが、元々人付き合いも苦手な彼に、一歩を踏み出す勇気はなかった。
そして、エースの立場が逆転してしまったことで、よりいっそう、壁の修復は困難になったのだった。

「一緒に帰ろうよ、やま」

あの笑顔が、どれほど嬉しかったか。

――思い返したその笑顔は、一瞬にして、恐怖に戦く姿に変わった。
自分が裕翔を突き落としたのだ――

「ごめん…ごめん…ごめんなさ…」

小さく震えながら、消え入りそうな声で何度も呟く山田。
その瞳には、何も映っていなかった。

「やまちゃん…？」

「裕翔が死んじゃう…裕翔が…裕翔が…」

絶対エースの面影はどこにもなく、壊れたようにぽろぽろと涙を溢す山田に、裕翔は戸惑いを隠せなかった。
かける言葉が見つからない。