じゃんぷ夢小説２ (ページ14)

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SOS ページ14

「あれだ…!」

希望の光は、もうすぐそこにあった。
しかし、その僅かな距離が縮まらない。

「くっそ…」

船はその場に留まっていた。
漁でもしているのだろうか、それとも自分たちを探している…――？

頭ではあり得ないとわかっていても、願望と可能性の区別さえつかなくなるほど、限界が近づいているのだ。
このチャンスに懸けたい。

もう少し…もう少し…!

―――次に響いたのは、絶望を告げる音。

「え…」

再び響いた汽笛。
嫌な予感がした。

「行っちゃう…？」

船が方向転換を始める。
掴みかけた希望、ここまでか――…？

「えっ、…おい伊野尾、なにを…!」

伊野尾は突然漕ぐのをやめ、オールを乱暴にボートに乗せると、薮の間をするりと通り抜け、後ろに固定していたビデオカメラを外しはじめた。
――ビデオカメラには、通常のカメラの機能がついていた。

伊野尾は、それを手に、ボートの上で立ち上がった。

「ちょ、おいバカっ、あぶね…!」

そしてカメラを高く掲げると、船に向かって何度もシャッターを切ったのだ。
薄暗い海に、フラッシュの光がパチパチと光る。

「おーい!!!おーい!!!」

普段の彼からは、ほとんど聞くこともない大声。
全てを理解した薮も、負けじと叫んだ。

「「助けてーーーーーー!」」