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館に戻る前、二人きりの森の中でイライが放った言葉は、Aにとって驚くものだった。
「………僕も全く同じ夢を、見た……」
イライは顔に手の平を当てて、なんとか赤くなった顔を見せまいと努力するが、耳は元より首まで真っ赤に染まっているのでその努力は無意味である。
「全く…同じ…」
目を合わせてくれなかった理由が、まさか同じ夢を見たからだと思わなかったAは、口を薄く開けて呆気にとられていた。
「…そう、だからAの顔をずっと見れなかったんだ…」
「なるほど…意識しちゃっていたということね?」
「…ハッキリと言わないでくれるかな?それにA、約束しただろう?笑わないって」
「だって、イライ。思春期の男の子みたいなんだもん…」
約束したにも関わらず、ついクスクスと笑いだしてしまう。
「だから言いたくなかったのに……
………でも……」
ばつが悪そうに目を背けたイライだが、それも一瞬で、すぐにAの顔を覗き込むように顔を近付ける。
「イ、イライ…?」
Aは思う。
目の前にいる彼は、本当にあのイライなのだろうかと。
あと少しで唇が触れ合う程間近に迫っている彼の表情は、これまでの迷いが嘘のように消え、ただ今は目の前にいるAだけを求めていた。
「もう、僕も素直になるって決めたよ。
…A、君が好きだ…
…君も僕の事が好きだろ?」
今まではAの方が積極的にアプローチを掛けていたが、まさかイライからこんな風に言われる日が来るとは思ってもいなかったAは、彼の強気な発言に胸が高鳴るのを抑えられないでいたのだった……
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虚無僧(こむそう)(プロフ) - HIROさん» ご感想ありがとうございます!飛される時のイライ君の声が好きです。コメント本当にありがとうございました!やる気パワーが満ちてきます\(^o^)/ (2019年6月23日 3時) (レス) id: bf4e788763 (このIDを非表示/違反報告)
HIRO(プロフ) - すごい好きでした……!美智子さんが怒ってくれてイライくん飛ばすとことか最高です(_.ω.)_:∵グハッ!! (2019年6月22日 20時) (レス) id: 1744d7d8f6 (このIDを非表示/違反報告)
虚無僧(こむそう)(プロフ) - はるさめさん» 御感想ありがとうございます。久々の更新になりましたが、こうしてコメントをいただけると、書いて良かったと報われます( ;∀;)ありがとうございました! (2019年6月11日 15時) (レス) id: bf4e788763 (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - 最高でした...!最初はどうのなるのかと思ったんですがラストのイライくんめちゃめちゃカッコよかったです...。ページを進めるのが楽しみでスラスラと読めました。とても好きです。 (2019年6月11日 1時) (レス) id: 8a587298f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虚無僧(こむそう) | 作成日時:2019年6月11日 1時