夜のバス、銀河鉄道 _ybhk+ytin

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「もうダメだ薮くん…」

「…伊野尾か」

「にゃんこにわんこはメロメロです…」

「…手加減なしだなアイツ…」

「もう、こないだなんてさ、」


ああ、言うな言うな！と
震えながらタバコをぐりぐり消す薮くん。


「知り合いと知り合いのイチャイチャなんて、
　想像もしたくねえ」


ブルブル震えてみせながら、
また次のタバコに火をつけている。

タバコ、やめないのかな。
そういや健康に悪いからやめて欲しいって
言ってたな。自分も吸うくせに。


「身体に良くないからタバコやめてって言ってたよ」

「…吸わねーやつにゃ分からんって伊野尾に言っとけ」


そういやいのちゃんは吸ってたことあるのかな。
何となく吸ってて欲しくないけど、
いやーでも吸ってても画になるだろーな。
あーちょっと見てみたいかも…。頼んでみようか…。


「裕翔今何考えてる？」

「えっ！いや何もやましいことは」


え、疑いたっぷりの目で見られてる。
ちょっと！ホントにやましいことは何も！




…違うか、やましいことだらけか。


初デートからもう3ヶ月は経った。
3回目のデートで告白、
なんて定石のタイミングはとうに逃していて、
俺たちの間にはやましいこと8割、
やましくないことが2割くらいだ。


薮くんのグラスが目に入る。

いのちゃんの牽制を犬らしく忠実に守る俺を
嘲笑うように、グラスには8割くらい酒が残ってた。


「うー！もう！ゴクゴク！」

「おい、俺の！」


グラスを強引に奪って半分くらい飲んでやった。

薮くん相手だったらこんなに強引にいけるのに。
何だよもう。




やましいこと、やましくないこと。
俺は半々くらいにしたい。


要するに、恋人になりたい。




　

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