第一章 夜のバス ページ1
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今日も奴が乗ってきた。
派手な髪色、派手な服装。
予備校からの帰りに乗る遅い時間のこのバスには、
俺の好奇心を掻き立てて仕方がない奴が乗ってくる。
予備校の最寄りから2つ先のバス停に停まると、
奴は決まって左側の後ろから2列目、
つまり俺の前の席に座る。
奴はよく眠る。
描きかけのスケッチブックを広げ、
大切そうにペンをぎゅっと握りしめながら。
そして眠りだしたら、俺は後ろから覗き込む。
今日もまた不思議な絵を描いている。
こいつはいつも重そうなカバンと、
魔法みたいに俺をワクワクさせる
スケッチブックを持っていた。
最後列の左端。
いつも座るこの特等席、
実は最初からここだった訳じゃない。
そういえば初めの頃は、
降り口の目の前の座席が定位置だったな。
すぐ降りられるように。
多分そんなつまらない理由だった。
予備校には去年、高2の夏から通い出した。
通い始めてしばらくしたある日、
降り口近くの定位置には先客がいて、
さほどこだわりもなかった俺は
何となく最後列に座った。
そしたら2つ先で奴が乗ってきて、
そのまま俺の前の席にするりと座って、
でっかいカバンからでっかい本を取り出す。
派手な髪色にいつも派手な服を着てたから、
何となく顔は覚えていた。
奴は本をパラパラと開いて、
いつの間にか手にしてたペンで何やら描いている。
どうやらでっかい本と思ったのは
スケッチブックのようだった。
そういえばあのへんに
なんとかアートスクールって建物があったな。
こいつ、そこ通ってんのか。
点と点が繋がる。
取るにも足らない線だ。
生きてるといくらでもあるような、
どこにでも落ちていて、
拾ってはまたそこに落とすような。
そん時は本当にそう思ったんだよ。
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ponpoco(プロフ) - しろくまさん» しろくまさま、ありがとうございます(;_;)しつけ糸くらい頼りない伏線でしたが、楽しんでいただけていたら嬉しいです。個人的にも色んなybhkさん書けて楽しかったです。笑 しろくまさまのアツアツも楽しみにさせていただいてます〜！ (2021年5月26日 0時) (
レス) id: 3a76e6c7e4 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 完結おめでとうございます。何度も最初から読み直しました。ひかちゃんのミステリアスな雰囲気が素敵なお話で、とっても楽しめました。タイトルとストーリーのリンクもさすがです！！次回作も楽しみにしています。 (2021年5月17日 0時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
ponpoco(プロフ) - ナギ.×さん» 初めまして。勿体ないお言葉…ありがとうございます！物語はぼちぼちクライマックスです、結末まで、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2021年4月23日 23時) (レス) id: a43e57129c (このIDを非表示/違反報告)
ナギ.×(プロフ) - 文章が凄く好きです。更新楽しみにしてます。 (2021年4月20日 21時) (レス) id: d0b22c7bf3 (このIDを非表示/違反報告)
ponpoco(プロフ) - しろくまさん» しろくまさま、ありがとうございます。今回いろんな空気のybhkを書きたくて、学生にリーマンに、って欲張ってしまってます。笑 楽しんでいただけたら嬉しいです！（私はしろくまさまのアツアツにドキドキしてます〜笑） (2021年3月1日 21時) (レス) id: e5d2a264c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ponpoco | 作成日時：2021年2月28日 13時
