エイリアンズ2 _jump×jump

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「なんで俺がベッドの位置決めんのってやつ」

「え、ああ」

「なんでだと思う？」

「はあ？」


段ボールから手を離し、笑うひかる。
今、何考えてる？

やぶ何で帰んないんだろう、かな。
引っ越し疲れたからそろそろ帰ってくんないかな、
だったらちょっと淋しいな。


「何、飲み足んない？ビールまだあるよ」


笑いながら立ち上がるひかる。
もうちょっと一緒に居ようよ、で合ってたら嬉しいな。


「ひかる、」


冷蔵庫に向かおうとするひかるを捕まえて、
そのまま俺も一緒になってベッドに投げる。

大の大人２人分の重みを受けたスプリングが
思った以上にぐわんと効いて、つい笑ってしまう。


「うお！ふふ、ね、なんでだと思う？」

「いってえ…人んちで暴れんなよ！」

「あはは！」


もう！と、ジタバタ起きあがろうとするから、
体を捻って押さえつけた。

そのままひかるの上に跨がって顔の横に手を付けば、
大きな目がゆらゆら揺れ始める。


「…ね、何でだと思う？」


パチパチと弾ける睫毛。


「え、待っ、ちょ、やぶ、」


わたわたと忙しないひかるが可笑しくて、可愛くて、
そのままちゅっ、とキスをした。

ひかるの目が、零れ落ちんばかりに見開かれる。

もう一度キスする。

もう一度、もう一度、

何度も。


啄むようにひかるの唇を味わっていたら、
いつの間にかひかるの腕が俺の首に回っていて、
それに気付いたらもう止まらなかった。


好きだ、好きだよ。
ひかるが好きだよ。


目を閉じると、水色。開けると、白。

ああ、飛び込めた。俺は飛び込めたんだ。

白いシーツの海。


「…はあ、やぶ、落っこちそう」


熱い息の合間に、
少し眉を下げて笑って、俺の肩を引き寄せる。

それから俺の首筋に顔を寄せて、
くるりと見上げて笑って見せた。


ああきっと。これから少しずつくれるんだろう。
こんな風な優しさを。生活の中にある優しさを。


堪らなくなって、ひかるをめいっぱい抱き締めた。

肺いっぱいに、嗅いだことのなかった
ひかるのワックスの匂いが流れ込む。


なあ、ひかる。
明日の朝、これと同じワックスを借して。
セーターも借して。


徒歩十分、すぐ帰れんだろなんて言わないで。



fin.

2017.7　_ybhk→←・

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