エイリアンズ2 _jump×jump

・ ページ22

「くふふ」

「…笑うなよ山田」


笑いたくもなる。

だってそれは俺にしてみれば、
2人のハッピーエンドが
ポロリと手の中に落ちてきたようなもんで。


「…伊野尾ちゃん、
　こんなに長く誰かを追っかけ回してたこと無いよ」

「………らしいね」

「それにだよ。あの惚れっぽい伊野尾ちゃんがだよ。
　大学入ってから光くんの話しかしなくなった」


俺がバイト先の有岡くんに、
やたら肩入れしている理由はここにある。

伊野尾ちゃんが大学1回生で俺がまだ高3だった年。
俺は見ず知らずの光くんが夢に出てくるほどにまで。

聞かされ続けていたのだ、
どれだけ格好良くて、どれだけ優しくて、

…そしてどれだけ好きか。


「…それがほんとなら嬉しくて死にそ」

「マジで」


相変わらず目は伏せられたままだけど、
くく、と笑って浮き上がった涙袋に、

伝われ、と、願いを掛ける。

俺の数年と、伊野尾ちゃんの全部を懸けて。
何度だってマジだと言ってやる。


「…信じて大丈夫？」

「大丈夫！」


この数ヶ月、生身の光くんから
新たに知ったことはいくつもある。

光くんはおバカでポンポコリンで、
何事にも真剣で、ストイックで…そして慎重だ。

だからこそ、ここでもまだ
二の足を踏みたくなる気持ちはめちゃくちゃ分かる。

それでも。それでもだ。
一歩踏み出せば確実に届く幸せに、
どうしても踏み出してみて欲しい。

これがどんなにお節介だとしても。

この人もまた、素敵な人だから。
幸せになって欲しい、と、普通に思うから。


「光くん、」

「あー、うん。…ダメだな、俺。
　もう何言ってもダメなとこまで来ちゃってたっぽい」

「…と言いますと…」



「もう何でも良いから、好きってとこまで来ちゃってる」



やっと真っ直ぐ視線を俺に向けて、
いたずらっぽく照れ笑い。

覗く八重歯は、やっぱりどうしてもチャーミングで、
俺はいつまで経っても思わずキュンと来てしまう。


ああ、俺の友達は図らずも敵に塩を送り、
恐らく後々振り返った時でいうところの今日は、
2人の関係が進展するための、
文字通り良いスパイスとして効いてくるんだろう。


あーもうラーメン伸びちゃったじゃんかよ、と笑う顔は、
甘くて、優しくて、格好良くて。


きいてよ、やまだ、ひかるがね！と、
駆け寄る伊野尾ちゃんはどんな顔して笑うんだろう。



きっと、そう遠くない、未来に。



fin…?



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もはやもうハッピーエンドでは…？

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