可愛い虫 ページ16
「ちょっとA、シムどこ行ってたの？
全然見当たらないから心配してたんだよ」
皆の所に戻った私達
早速あやに言われてしまった
「ごめんね、浮き輪にのってたら変な所に流されちゃって...気付いたシムが助けてくれたの」
私の隣でアイツがブンブン頷いた
「...おいお前、そこどうした？」
すると村上がアイツの肩を指差した
ギクリ・・・
村上が言っているのは
私が付けたキスマークの事
さっき、そろそろ戻ろうと言った私に
戻りたくないと駄々を捏ねたアイツが
私のキスマークを触りながら
「わかりました。
その代わり、僕にもコレつけて下さい...。
そしたら戻ってもいいです」
そう言って私につけさせたもの
そんなところ目につくから無理だと断ると
「目につくから意味があるんです。
皆に見せて歩きたいんです、Aさんに愛されている印を...」
逆にそんな風に言われてしまい
つけるまで戻らないと言い張るアイツに負けて
つけたヤツ
やっぱり気付かれたか....
「もし気付かれたら
虫に刺されたって言うから大丈夫です」
アイツはそう言ってたけど大丈夫かな...
「これですか？虫に刺されたんですよ」
「虫？」
「てゆーかキスマークみたいじゃない？」
「見せてみろよ」
「ホントだ〜」
あやの一言で皆がアイツの肩に注目した
やっぱり虫刺されなんて無理があったんじゃ...
バレるかも...
ソワソワと落ち着かない私の横で
キスマークを注目されて満足顔のアイツ
次の瞬間、信じられない事を口走った
「確かにキスマークですね」
一瞬止まる皆の動き
ちょっ...なに言ってるのー！！
私は心の中で絶叫した
そんな私達を他所に
アイツはにっこり笑って話を続けた
「だってその虫...紫色のとっても可愛い虫でしたから。ね？竹内さん」
私に振らないでよ！
そう思いつつ
とにかくバレないために必死
「そうそう！初めて見たよあんな虫...！！」
「へぇ〜紫色の虫なんているんだぁ」
「何だよ、ホントにキスマークかと思ったぜ」
「可愛いって...虫だろ？」
「何か痛そう...」
皆の反応を見て
ほっ...としたのも束の間
「あんなに可愛い虫なら
何度刺されてもいいですね」
再び飛び出た要らぬ一言に
「え〜変なの」
「ホントに虫かよ、怪しいなぁ」
「A一緒にいたんだよね？ホントに虫だった？」
三度騒ぎ出す皆を見て
やっぱりアイツを誘ったのは間違いだったと
そう、強く思った
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
