モデルなアイツ2 ページ3
オールバックにした頭に
黒いタキシードを着たアイツは
あり得ないほど格好よくて
正に「大人の男」だった
後から出てきた花嫁役のモデルと腕を組み
堂々とした表情で花道を歩くその姿は
まるで別人のよう...
「ちょっと彼、格好よすぎじゃない？」
「噂によると花嫁役の三崎さん
シム君の事狙ってるらしいですよ」
え？彼女が...？
彼女は和食レストラン所属の
「着物が似合う長身美人」と
このホテルのちょっとした有名人
「そうなんだ...
でもあの二人何だかお似合いじゃない？」
「ホントですね」
時折さりげなく
彼女をエスコートするアイツの姿は
正真正銘モデルそのもの
その仕草も自然ですごくスマート
「ちょっと何あの人...本物のモデル？」
「ヤバイ、カッコイイんだけど...」
「あれってもしかしてモデルのチャンミン？」
「ドレスよりあの人に目がいっちゃうわね」
来場したお客さんからは
そんな声が聞こえてきた
「やっぱり元モデルだけあるわね。
でも花嫁より目立つなんて...」
隣で杉山さんが小さくため息をついた
確かにアイツは
隣を歩く三崎さんより目立っていた
これがモデルのアイツなんだ...
「まぁ、でもいい宣伝になったかも」
スポットライトを浴びて歩くアイツの後ろ姿
その華やかな姿を見ていたら
何だか少しだけアイツを遠く感じて
期待と共に感じた不安が
現実の物になった、そんな気がした
その夜、アイツと並んでソファに座り
今日の話を切り出すと
「どうでしたか！」
すかさずアイツが
キラキラした瞳で感想を聞いてきた
・・・本当に同一人物？(失礼なヤツ)
「すっごく格好よかったよ(笑)」
それを聞いたアイツ
一瞬溢れんばかりの笑顔を浮かべて
すぐにドヤ顔になった
「当然です、元モデルですから」
「...そうだよね。
だから何だかチャンミンを遠く感じちゃった」
私は思った事を素直に伝えた
スッ...
するとアイツが手を伸ばし
優しく私の髪を撫でた
「でも...自分の結婚式は隣にいるのがAさんだから、今日みたいにはいかないですね」
「どうして？」
「どうしてって...
緊張するからに決まってるじゃないですか！」
「そうなの？」
「当然です」
そうなんだ...
「Aさん、緊張したら何するかわかりませんからそのつもりでいて下さいね(笑)」
チャンミン...
いたずらっ子のように
右目を細めて笑うアイツの顔は
やっぱりとても可愛かった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
