最悪な彼女 ページ4
.
「あー、やになっちゃう
既にクタクタなんだけどぉ...」
今日も毎度お馴染みのイヤミで始まった仕事
彼女、楢崎さんは
事務員である私を明らかに下に見ている
ここは市民病院に併設された調剤薬局
そりゃあ、薬剤師と事務員じゃ
その能力も受けとる報酬も全然違うけど
だからってこんなあからさまに見下される謂れはない
「その点、車通勤の人はいいわよね。
満員電車とは永遠に無縁なんだから」
"永遠"とか言う辺りに最大級のイヤミを感じる
都会...とは言え
東京などの大都市に比べると大分規模が小さいけれど
それでもここは私が住んでいる所に比べたら遥かに開けているのは確かで
そんな「田舎」から通ってる私は
"永遠に"そこから出る事はないと言いたいんだろう
まぁ、あながち間違ってはいないけど
「多田さんもそう思うでしょう？」
彼女が最悪なのはここだ
私に対するイヤミなのに、あえて私に同意を求めてくる
「...ゴミ、捨ててきます」
イライラと今にも爆発しそうなイラつきを抑え席を立った
.
「あー、イラつく！！」
そんなんだから
いつまでたっても彼氏ができないのよ！！
毎日のように溢してる
いい人いないかなって
彼女にとっての"いい人"とは
高学歴、高収入、おまけに外見まで最高な男で
そんな"いい人"を捕まえる為なら
どんな努力も惜しまないとも言っていた
若い男の医者を前に
媚びた視線を送っている姿を思い出し
ブルッと身を竦めた
.
ドサッ...
「それにしてもあのコ...」
無事に夜を越せたかな
ふと昨日助けた鹿を思い出し
ごみ捨て場の前で佇んだ
助けた、とは言っても
ミネラルウォーターで傷を洗浄し止血しただけだけど
今朝、それらしい姿を見かける事はなかった
「...戻るか」
またイヤミを言われても腹立つだけなので
足早に来た道を引き返した
.
昨日とは違い、今日は定時に仕事を終え
まだ明るい内に職場を後にした
母親の実家で一人暮らしをしている私
途中、近くのスーパーで食材を買い込み車を走らせる
長年一緒に暮らしていた
謂わば育ての親でもある祖母は3年前に他界し
祖父は私が中学生の頃に亡くなった
母は...
あの人の事は
生きているのかさえ知らない
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ami(プロフ) - まこさん» まこさん、夏目漱石のエピソード、素敵ですよね。流石偉人は違います。妄想当初はもっとムードある流れで使おうかと思ったのですが、気付いたらこんな感じに(笑)拾って頂けて嬉しかったです！ありがとうございます。引き続きお付き合い下さいね。 (2021年7月14日 17時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - amiさん！更新ありがとうございます。まさか。ここで大好きな夏目漱石の訳に会えるなんて泣素敵ー！これからも楽しみにしています。 (2021年7月14日 16時) (レス) id: c043fdfdb9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - tamaさん» tamaさん、切なさ感じて頂けて嬉しいです。バンビはどこへ行ってしまったのか。今後の更新で明らかにしていきますね。お話に共感して下さり励みになります。 (2021年7月6日 15時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 切ない…バンビどこ行っちゃったのかな。 (2021年7月6日 0時) (レス) id: 2b3dad8b2a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、それはもう「人にあらず」でしょうか(笑)悪の経典は観てないですが。←更新楽しみにして下さって励みになります！ありがとうございます。 (2021年7月5日 22時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2018年1月16日 1時
