正しいそのばあちゃん ページ36
「ヒモ...ヒモって言うのはねぇ
ほら、そこにある新聞紙を縛る物の事を言うのよ」
嫌な予感を感じつつ
あえて"間違った"答えを教えてみる
「ふぅ〜ん...
でも僕で、新聞紙は縛れないよね？」
納得いかない様子で
台所の入り口に積まれた新聞紙と
その上の紙紐を見つめるバンビに、やはり嫌な予感が頭を過る
「そのばあちゃんにね」
「うん...」
「"バンビはAちゃんのヒモだろ"
そう言われたんだけど...」
や、やっぱりー！
動揺して危うく手を切りそうになった
そのばあちゃんたら何て事をー！
「バ、バンビの、聞き間違いじゃないの！」
「う〜ん...」
悪い人ではないんだけど
ちょっと口が悪いそのばあちゃん
思った事をすぐ口にするところがある
お嫁さんと折り合いが悪かったのも
それが原因のひとつではないかともっぱらの噂だ
バンビの事は、そのばあちゃん含め
聞かれたら事情があって
間借りさせている友人だと伝えているのだけれど
「ほら、バンビも手伝って！お皿お皿」
まさか本当の意味を言えるはずもなく
再び手を動かし何とか話を逸らす
「でも、さぁ(笑)」
「ん？」
「Aなら
こうやって縛る事が出来るよね？」
「え...」
ぎゅっ
後ろから...
突然バンビに抱き締められて、思考さえ止まる
「うん、やっぱり
そのばあちゃんの言ってる事は正しい(笑)」
「・・・・」
「僕はAの、
「...ちょ、ちょっと離しなさいよっ！」
「ん、どうして？」
バンビが横から
クリッとした瞳で顔を覗いてきた
ドキッ！
その仕草にドキドキしつつ
「どうしてって
ご飯が作れない！食べたくないの！？」
何とかバンビを離そうと必死
「う〜ん、食べたいけど」
...けど？
「Aともっとこうしてたい(笑)」
だってこんなの
ドキドキしすぎて耐えられない
グリグリッ！
「ちょっ...バンビくすぐったい(笑)」
バンビが首筋にぐりぐりと顔を擦り付けてきた
「ん"ー！」
グリグリッ！
「だからくすぐったいってば(笑)」
.
ねぇ、バンビ
こんな風にこの家で笑えたのは
間違いなくあなたという存在が
私のそばに、あったからなんだよ
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ami(プロフ) - まこさん» まこさん、夏目漱石のエピソード、素敵ですよね。流石偉人は違います。妄想当初はもっとムードある流れで使おうかと思ったのですが、気付いたらこんな感じに(笑)拾って頂けて嬉しかったです！ありがとうございます。引き続きお付き合い下さいね。 (2021年7月14日 17時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - amiさん！更新ありがとうございます。まさか。ここで大好きな夏目漱石の訳に会えるなんて泣素敵ー！これからも楽しみにしています。 (2021年7月14日 16時) (レス) id: c043fdfdb9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - tamaさん» tamaさん、切なさ感じて頂けて嬉しいです。バンビはどこへ行ってしまったのか。今後の更新で明らかにしていきますね。お話に共感して下さり励みになります。 (2021年7月6日 15時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 切ない…バンビどこ行っちゃったのかな。 (2021年7月6日 0時) (レス) id: 2b3dad8b2a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、それはもう「人にあらず」でしょうか(笑)悪の経典は観てないですが。←更新楽しみにして下さって励みになります！ありがとうございます。 (2021年7月5日 22時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2018年1月16日 1時
