出会い1 ページ2
バンビとの出会いは一昨年の夏の終わり
まだ熱い夏の夜の事だった
.
その日、いつも通り仕事を終え
職場から車で片道30分程掛かる自宅目指して車を走らせていた私
クネクネと蛇のように蛇行する山道を上っている途中
「...ん？事故？」
行きにはなかったタイヤ痕と
不自然に曲がったガードレールが暗闇の中浮かび上がるのを目にして
思わずスピードを緩めた
この様子だと、恐らく単独事故？
「ここって動物多いからなぁ...」
少し前に目にした
鹿の絵が描かれた動物注意の表識を思い出した
過去に私も、突然目の前に飛び出した黒い小さな物体にヒヤッとさせられた経験がある
「大した事ないといいけど、運転手...」
ついつい独り言が多くなってしまうのは
馴れた道とは言え
やはり一人きりの山道が怖いからで
幽霊とか心霊とか
そういった物が大の苦手である私は
この30分が日々積み重なるストレスのひとつになっていた
それでも
どこか便のいい所へ引っ越そうとは思わない
それは幼い頃から住んでいる場所への愛着と言うより、新たな場所で新たな生活を始めるのが面倒くさいから
今年27になる私は
早くも生意気に、自分の人生に見切りをつけていた
きっとこの先もここで暮らして
毎日のようにイヤミを言う薬剤師にこきつかわれ
適当な人と結婚...いや、結婚はいいや
母のようになったらイヤだから
とにかくこの先もここで暮らして
その時が来たら
一人静かに人生の幕を下ろしたい...って
「わぁっ...ッ！！」
キキィッー！！
急カーブを曲がった先
突然現れた白い物体に慌てて急ブレーキを踏んだ
「...もう、なんなのよ」
反射的に瞑った目を開けるとそこにいたのは
「...鹿？」
こっちにお腹を見せて横たわる鹿だった
「何でこんな道路の真ん中に鹿が...」
その答えは簡単で
血に染まった左脚と辛そうに上がった息遣い
怪我をして動けなくなっているのは明らかで
車を運転するようになってから
これに近い光景は何度か目にしていた
でもここまで大きな動物は初めてで
しかもまだ息がある
「もしかしてさっきのタイヤ痕...」
このコが原因？
有り得ない話ではない
...う〜ん、どうしよう
このままここに横たわっていたら
この先ここを通る車に轢かれかねない
現に私も轢きそうになった訳だし
そうなると明日ここを通る頃には
正に地獄絵図...
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ami(プロフ) - まこさん» まこさん、夏目漱石のエピソード、素敵ですよね。流石偉人は違います。妄想当初はもっとムードある流れで使おうかと思ったのですが、気付いたらこんな感じに(笑)拾って頂けて嬉しかったです！ありがとうございます。引き続きお付き合い下さいね。 (2021年7月14日 17時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - amiさん！更新ありがとうございます。まさか。ここで大好きな夏目漱石の訳に会えるなんて泣素敵ー！これからも楽しみにしています。 (2021年7月14日 16時) (レス) id: c043fdfdb9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - tamaさん» tamaさん、切なさ感じて頂けて嬉しいです。バンビはどこへ行ってしまったのか。今後の更新で明らかにしていきますね。お話に共感して下さり励みになります。 (2021年7月6日 15時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 切ない…バンビどこ行っちゃったのかな。 (2021年7月6日 0時) (レス) id: 2b3dad8b2a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、それはもう「人にあらず」でしょうか(笑)悪の経典は観てないですが。←更新楽しみにして下さって励みになります！ありがとうございます。 (2021年7月5日 22時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2018年1月16日 1時
