深愛44 ページ44
およそ半月ぶりにAに会い
何よりもまず、その細さにぎょっとした
上から眺めていただけでは気付けなかった
Aの変わりよう
直ぐ様肩を掴み
問い質したいのを我慢して跪いた
そんな手荒なまねは憚られる程
今のAは華奢で儚い
案の定、Aがこうなった原因はアイツで
それでも頑なに口を割らないA
終いには自分のせいだとまで言い出して
その、布団を握る
震えた手を見て思い立った
ならば伊勢谷本人を
問い詰めればいいだけの事
事と次第によっては、ただじゃおかない
そう意気込んで
確実に接触できる、翌日の退勤後を待った
.
「悪いけど後よろしく！」
前日把握していた通り
診療終了時間の30分前には
全ての予約を消化し
残りの30分、電話受付だけを頼み
クリニックを飛び出した
こんな事は医師になって初めてで
例え予約のない日でも、急患を受け入れる為
終了時間前にクリニックを空ける事はしない
それは社会人として当然の事であり
医療に携わる者として、果たすべき使命でもある
それを承知で俺は車を走らせる
何としても今夜
アイツと話をしたいから
...間に合った
車を飛ばし、何とか終了時間の5分前に
くすのき歯科に到着した
俺は少し離れた路肩に車を寄せ
エンジンを切った
しばらくすると
ぞろぞろとスタッフが出て来て
その中にAの姿を見つけた時
息が詰まる程の想い
A...
同僚と並んで歩く
痩せ細ったAの後姿
やり場のない切なさが
沸々とした怒りに変わるのは一瞬で
アイツの姿を捉えるなり
再びエンジンを入れ
暗闇の中、静かにアイツの後を追った
...ここか
砕石敷きの駄々っ広い駐車場
そこへアイツが入ったのを確認し
車を進入させた
「おい、ちょっと待て」
適当な場所に駐車し
車のドアに手を掛けたアイツを
降り立った後方から呼び止める
すぐにアイツが振り返った
「話がある」
言いながらそばまで行き
「...ん？お疲れ」
「何だ何だ」
その時、迂闊にも他の医師達が現れ
訝しげに俺達を眺めていった
「あぁ、お疲れ！」
しかしそれも
伊勢谷が手を上げて応えた事で収まり
次々駐車場を出ていった
再び伊勢谷と二人になり
静かに目の前の男を見下ろすと
「何、そんなに怖い顔して(笑)」
緊張感のない顔でへらへらと笑い出した
「Aに何した？」
それは自分でも驚く程
冷たい声だった
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神鹿(プロフ) - 見つけられました！ありがとうございます！ (2021年9月2日 23時) (
レス) id: 874191ca7a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 神鹿さん» 神鹿さん、私の作品ページから飛べませんか？出来ないようであれば神鹿さんの設定R18作品を読めるように変える必要があります。 (2021年9月2日 8時) (レス) id: d1c1872a15 (このIDを非表示/違反報告)
神鹿(プロフ) - スミマセンが 別部屋へは どうやったら読みに行けますか？ (2021年9月1日 22時) (レス) id: 874191ca7a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - はるさん» はるさん、嬉しいお言葉のオンパレード！感激です。長らく放置していて気がかりだったお話を完結できて、私もほっとしています。一緒に楽しんで下さり、こちらこそありがとうございました。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: d1c1872a15 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 最後まで、ドキドキしながら読ませて頂きました。ありがとうございました。amiさんの言葉使いが大好きでした。終わり方も、ほっとする？爽やかな？心が明るくなる様なエンディングで、何度も読み返したい作品です。本当にありがとうございました。 (2021年8月30日 10時) (レス) id: 533b71ddc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2017年9月18日 12時
