深愛16 ページ16
次の日、出勤しようと家を出ると
先生がいた
「送ってくから、車で話そう」
「...ッ、はい」
こんな心境なのに
私の出勤時間を知っていた事
そしてそれに合わせて
待っていてくれた事が嬉しくて
涙が出そうになった
「昨日は、ごめんなさい...」
「ん...」
先生が車のドアを開けて
エスコートしてくれた
こんなにも大事にしてくれるのに
先生を信じきれない自分が嫌になる
「あ、今日はお弁当がなくて...すみません」
おまけにお弁当すら作っていない
言い出しっぺは私なのに
「ん...いいよ、わかってるから」
そう言って車を発進させた先生が
無理して平静を装っている気がして
仕上がりがどうであれ作れば良かったと
物凄く後悔した
そのまましばらくお互い押し黙ったままで
停まっていた信号が青になるのと同時に
先生が口を開いた
「正直に言って
彼女が来てくれて助かってる」
彼女とはつまり水無月さんの事で
心臓がドクンと音を立てた
「3人じゃとてもじゃないけど回らないし
衛生士として彼女は優秀だから」
"優秀"
わかってはいても
先生に言われると辛い
水無月さんの補助が多いのは
先生自ら望んでの事だと
認めざるを得なくなるから
「だから彼女がいる間は
Aもそのつもりで働いて欲しい」
「...ッ」
正直今にも泣きそうだった
自分の甘さを、指摘されているようで
だけど知っているから
先生が歯科医として
どれ程真摯に患者さんと向き合っているのか
そんな先生が好きで
そんな先生だからこそ好きになったのに
今の私は先生を助けるどころか
その足を引っ張っている
これじゃあ先生が水無月さんを選んでも
無理はない
「...先生？」
込み上げる涙を何とか飲み込んで
先生を見つめた
「なに」
「最後にひとつだけ...
聞いてもいいですか？」
「...ん」
少し間があって先生が頷いた
「別れを切り出したのは、先生の方ですか...？」
しつこいのはわかってる
でもお願いだから教えて
知らないからきっと不安になる
先生の望み通り、これで最後にするから
「...ハァ」
先生が観念したように微かに息をついた
「向こうだよ」
「・・・・」
...私はバカだ
恋愛を知らないにも程がある
"向こうだよ"
過去なんて知っても
ろくなことにはならないのに
「そう、ですか...」
きっとどこかで期待していたんだと思う
先生から真逆の答えが
聞けるんじゃないかって
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神鹿(プロフ) - 見つけられました！ありがとうございます！ (2021年9月2日 23時) (
レス) id: 874191ca7a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 神鹿さん» 神鹿さん、私の作品ページから飛べませんか？出来ないようであれば神鹿さんの設定R18作品を読めるように変える必要があります。 (2021年9月2日 8時) (レス) id: d1c1872a15 (このIDを非表示/違反報告)
神鹿(プロフ) - スミマセンが 別部屋へは どうやったら読みに行けますか？ (2021年9月1日 22時) (レス) id: 874191ca7a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - はるさん» はるさん、嬉しいお言葉のオンパレード！感激です。長らく放置していて気がかりだったお話を完結できて、私もほっとしています。一緒に楽しんで下さり、こちらこそありがとうございました。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: d1c1872a15 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 最後まで、ドキドキしながら読ませて頂きました。ありがとうございました。amiさんの言葉使いが大好きでした。終わり方も、ほっとする？爽やかな？心が明るくなる様なエンディングで、何度も読み返したい作品です。本当にありがとうございました。 (2021年8月30日 10時) (レス) id: 533b71ddc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2017年9月18日 12時
