伝わる本気 ページ25
.
「よかった、間に合った」
「チャンミン、ここって...」
アイツと二人
バスと電車を乗り継ぎ着いたのは
「はい、遊園地です」
そう...二人の初デートの場所
閉園間際の遊園地だった
「時間がないから...ほら、行きますよ」
入場ゲートを見上げて佇む私に
アイツが手を差し出した
「うん...」
その手を、躊躇う事なく掴む
さっきまで別れる事すら考えていたのに
そんな自分に少し驚いたけど
これが今の私の素直な気持ちだった
.
「ようこそ、こんばんはー(笑)」
ひたすら脇目も振らず
私の手を引いてアイツが向かった先は
もちろん観覧車
いつものように
爽やかな笑顔を向けるお姉さんに迎えられ
アイツと一緒に
綺麗にライトアップされた観覧車に乗り込んだ
ただ、いつもなら
ゴンドラが傾くのもお構いなしに
私の横に座るアイツが
今夜は向かい合って腰を下ろした
次の瞬間
「ごめんなさい、Aさん！」
そう言って突如
アイツが深々と頭を下げてきた
え...
予想もしてなかった事に
思わず言葉が詰まる私
そんな私の前で恐る恐る顔を上げたアイツは
チラッと上目遣いで私の顔を確かめると
すぐに目を伏せ、静かに話しを切り出した
「...僕、本当に考えました。
Aさんがあんな風に出ていった後、一晩本当に考えました」
「うん...」
私も、考えた...
「それで？」
「それでさっきも言ったけど、今回は誰にも頼らず本当に一人で考えたんです。僕の何がいけなかったのか、どうしてあんな顔をさせてしまったのか...僕自身で答えを見つけないといけないと思ったから」
ここまで聞いて
早くも喉の奥がツンとして涙が零れそうになり
それを堪えて何とか相槌を打つと
アイツが再び話を続けた
「それで僕、ヒロさんに確認したんです」
...何を？
「アキさんは人の男を取るのが好きなのかって」
「...ッ、ヒロさんに！？」
まさかの言葉に
思わず体を前に乗り出し聞いていた
「はい」
はいって...だってそんな事したら
ヒロさんになんて思われるか
もしそれが間違っていたら
縁を切られたっておかしくない
それほどヒドイ言葉
ヒロさんには
あんなに可愛いがって貰っていたのに...
落胆して今度は
力なく体を後ろへ倒した
でも、だからこそアイツの本気が見えた
私を想う、アイツの本気が
それに応えるよう
体を前へ戻した私にアイツは更に続けた
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作者名：ami
| 作成日時：2016年3月21日 17時
