予想外の言葉 ページ24
「キャァァーッ！やっぱ本物だ！本物！」
「なんで！どうしてここに！」
次の瞬間、隣の彼女達が
辺りに響き渡る程の叫び声を上げた
「Aさん...」
そんな中、アイツがもう一度私を呼んだ
...だから、どうして？
その声に、堪らず零れ落ちそうになる涙を
必死に堪えながら声を振り絞った
「...どうして、ここに？」
だって今夜はみなと約束していた
「もしかして、みなが...？」
アイツと付き合ってから今まで
何か問題が起こる度
周りの人達の暖かい気持ちに支えて貰い
乗り越えてきた
だから今回もきっとそうなんだと思った
「違います。僕が自分でここに来ました」
でも、どうやらそれは間違いだったようで...
「え...」
「自分で佐々木さんに電話して、自分でここに来ました」
自分で...？
予想外の言葉に思わず顔を上げた
そんな私と目が合うと
アイツは一瞬泣きそうに眉を寄せ
「だって誰よりもまず
"僕"がAさんに会いたかったから...」
そっと伸ばした右手で
目尻に浮かぶ涙を優しく拭ってくれた
チャンミン...
「キャァァ！ちょっとちょっとどーゆー事！」
「マジで彼女だったの！？」
その直後だった
彼女達が再び叫び声を上げた
あまりの声に思わず隣に目をやった私と違い
アイツは全くと言っていい程
騒ぐ彼女達など気にも留めない
「行きますよ」
それどころか、力強く私の手を引くと
スタスタと足早に歩き出した
後ろから
もはや絶叫に近い声を上げる彼女達だけでなく
アイツの存在に気付いた人達で騒然とする中
強引なアイツに
なすすべなく引きずられた私は
「離して！どこにいくの？みなと約束してる！」
戸惑いから、精一杯抵抗してみせた
にも拘わらずアイツは
「それなら平気です。
ちゃんと断りましたから」
こちらを振り返る事もせず
そんな事を言う
「断ったって
どうしてそんな事するの？私はみなと...ッ」
これには流石に頭に来て
掴まれた手を振りほどこうともがいたその時
振り返ったアイツが
私の顔を両手で包み、キスでそれを遮った
「・・・・」
突然の事に固まる私から
ゆっくり唇を離したアイツ
見上げる私の瞳をグッと覗き込むと
「いいから黙ってついてきて下さい」
それだけ言って
またスタスタと歩き出した
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作者名：ami
| 作成日時：2016年3月21日 17時
