傘2(番外編) ページ12
あっ...
雨の中を傘を差して歩くチャンミンさんの姿を
偶然にも、見つけてしまった
周りよりも少しだけ飛び出た紺色の傘の下
ジャケットのポケットに手を突っ込み
足早に歩くチャンミンさん
あんなに急いで
彼女にでも会いに行くのかな
その姿に、チクン...と少しだけ痛む胸
「あっ！ちょっとアレ見て！マジヤバイ！！」
「えっ...キャアァァ！！」
突然発せられた叫び声に
一気に周りの視線がこの本屋に集中した
あ...！
もちろんそれはチャンミンさんも一緒で...
「ねぇ！なんかこっち見てない！」
「見てる見てる！マジヤバイッ！！」
少しだけ離れた場所から
じっとこっちを、見つめていた
「...えっ、なんか...こっちに来てない？」
「き、来てるよ来てるよ！マジヤバイって！！」
...どうして？
どうしてこっちに来るの？
だって私達は
もうなんの関係もないはず
ドクドクと暴れ出した心臓が苦しくて
こっちを見つめる瞳から慌てて視線を逸らした
「...ッ！」
だけど...
逸らした視界の端に少しだけ見えるのは
明らかにチャンミンさんの足
私の前で立ち止まった、チャンミンさんの足
「えっ？えっ！？」
「ちょっとちょっと、どーゆー事！？」
「...傘、ないの？」
パニック状態の彼女達の声に紛れて聞こえてきた
穏やかな彼の声
...だからどうして
声なんて掛けるの？
「セラ...？」
今はもう、そーゆー優しさは
いらないんだってば
以前と違って逆に辛くなるだけだから
「よかったら、この傘使って？
もちろん捨てちゃっていいから...」
「・・・・」
...パシャッ
ずっと視線を逸らしたままの私の手に
傘を握らせると
チャンミンさんは雨の中へ消えて行った
だから...
こんな優しさ、必要ないんだってば...
「...ッ」
私は泣きながら傘を広げて
雨の中を歩き出した
でも...
「なんかイメージ変わったね...」
「うん、あんな優しい喋り方するんだ...」
後ろから聞こえてきた会話に
思わず嬉しくなったのも事実で
今度返そうかな、傘...
「...(笑)」
私は泣きながら笑って
家までの道を歩いた
＊おわり＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1382人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ami
| 作成日時：2016年3月21日 17時
