二度目の旅行7 ページ43
「ふぅ〜ん...
噂通り、可愛いね(笑)」
え？可愛い？
しかも噂通りって...
「ふふっ、もちろんです！(笑)」
グイッ！
「うわぁ...！」
アイツが一旦離していた手を再び繋いで
思いきり自分の方へ引き寄せた
弾みでアイツの胸にぶつかる私の頬
「Aさんの可愛さは世界一！ですから(笑)」
いやいやいや！
世界一って
こんな選ばれた容姿の持ち主に向かって
なんて事を！
カァッ...///
恥ずかしくて
その頬が一気に赤くなったのがわかる
「フッ...相変わらずだな(笑)」
「...え」
でも...
そんな恥ずかしすぎる発言に
ヒロさんはすごく優しい顔で笑ってくれたから
私もすぐに俯いた顔を上げる事ができた
ヒロさん...
サングラスの件もそうだけど
きっとこんなアイツのこと
すごく可愛がってくれてるんだろうな
よかった...(笑)
いい先輩に恵まれて
「あ、そう言えばお前
今度アキと一緒に仕事するよな？」
「はい」
「今日の撮影、彼女も一緒なんだ。
よかったら挨拶してく？ほら...あそこ、今休憩中だから」
ヒロさんが指差したそこには
人だかりができていて
少し先の防波堤で休む
遠目でもスタイルがいいとわかる人達が
「え、でも・・・」
チラッ...
アイツが隣にいる私に視線を落とした
「行ってくれば？」
「え？」
「せっかくだし
今度一緒に仕事するんだよね？」
「はい...」
「いいよ、待ってるから」
「でも...」
沈んだ声を出し
納得いかない表情を浮かべるアイツ
「彼女もそう言ってくれてるんだし
ごめんね、ちょっと借りるよ(笑)」
そんなアイツを
ヒロさんは半ば強引に連れて行った
「行っちゃった...」
自分で行けと言っておいてなんだけど
明らかに私のような一般人とは違う人達の輪に
ごく自然に
笑顔で交わるアイツの姿を見ていたら
「ぁ...」
さっき車の中で感じた違和感が
再び小さく胸に宿るのを感じた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年11月10日 12時
