謝ってばかり ページ18
湿気が充満する不快な校舎
行き交う生徒がジロジロと僕達を見て行く中
「あの...今の人って...」
俯きがちに歩くセラがそう言った
「ん？一之瀬さん？」
「はい...あの人はチャンミンさんの」
「あ、うん...クラスメイトだよ？」
「クラスメイト...」
「うん」
そう、今はクラスメイト
仲のいい友達の一人
「...あ、セラ、僕はこっちだから」
そうこうしている内に
セラとの分かれ道の階段が見えて
抱き寄せていた手をそっと肩から離した
「...チャンミンさんと彼女は」
「え？」
「ホントにお似合いの...カップルだったんですね」
すると突然セラがそんな事を言い出した
「じゃなきゃあんな風に
ただのクラスメイトが口出ししたりしないですよね...(笑)」
明らかに無理して笑っているセラの横顔
「ごめんね...セラ」
「え...」
「イヤな想いをさせて」
「・・・・」
ホントは
こうしてAさんの身代わりをさせている事を
第一に謝るべきなんだろうけど
今はまだ...独りになりたくない
「ホント、僕はサイテーだね。
ごめん、セラ...」
「...謝って、ばかりですね」
「え？」
「チャンミンさんは私といても謝ってばかり...あんな風に笑って欲しいのに」
呟いたセラが急に立ち止まった
「セラ？」
「謝らないでいいって
そう言ってるじゃないですか...！」
僕を見上げたセラの瞳
そのまあるい瞳に
みるみる内に涙がたまっていく
「全部承知でやった事なんですよ？全部承知で！この髪型だって、私がっ、自分で...ッ！」
確かに昨日
セラがAさんと同じ髪型にすると言った時
僕は断った
"僕にこんな事言われたくないかもしれないけど、もっと大事にして？自分を..."
そう言って断った
「でも...」
"じゃあチャンミン...
チャンミンて、呼んで？"
結局僕はセラの想いに甘えた
甘えたんだ...
だから
「そうさせてしまったのは
やっぱり僕のせいだよね？だから・・・」
「それにっ！」
「え？」
「謝らなきゃいけないのは...私の方なんです！」
僕の言葉を遮って俯いたセラ
零れる涙を乱暴に袖で拭うと
再び顔を上げた
それでも涙で濡れるセラの瞳が
じっと僕を見つめる
セラ...？
「謝るのは自分の方って
それ...さっきも言ってたけど何を謝るの？」
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作者名：ami
| 作成日時：2015年11月10日 12時
