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一緒にいるためなら ページ11
「あの、チャンミンさん...
今日はもう...帰るんですか？」
Aさんから逃げるように
セラの手を掴み乗り込んだ電車
流れ行く景色をボンヤリ眺める僕を
不安そうなセラの瞳が見つめてきた
「...ん、ごめんね？変な事に巻き込んで」
あの日
どうして書庫でセラに声を掛けたのかわかった
心のどこかで、セラを使って
Aさんに
嫉妬させてやりたいと思っていたんだ
他の人に心変わりしたAさんに
少しでも気にして貰いたかったんだ
セラを使って
「僕はサイテーだね...」
Aさんの気を引くためなら
Aさんと一緒にいるためなら
そのためなら
平気で
そんなサイテーな男なんだ
「ごめんね、セラ...」
見上げるセラの手を離そうとした瞬間
その手を、セラがぎゅっと握り締めてきた
「セラ...？」
「謝らないで...？
謝らないで下さい...」
言いながらプルプルと首を横に振るセラ
「さっき言いましたよね？全部承知で声を掛けたって...そういう事なんです」
「そういう事...？」
「はい...チャンミンさんにお付き合いしている方がいるのは知っていました。
だからあの日...書庫で呟くチャンミンさんの言葉を聞いて、その方と何かあったのもわかってました。わかってて声を掛けたんです...」
僕の手を痛いくらい握りしめ
俯きがちにそう話すセラの声は微かに震えていた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年11月10日 12時
