心当たり ページ48
「...シ、シたくないって
どういう...意味ですか？」
僕はお互いの気持ちを確認したいから、と
ハッキリ言ったはず
今までだって
僕達はそうやって確認してきた
それなのに、シたくないの...？
「どういう意味って...そのままだよ？」
僕と同じ
震える声でそう答えたAさんは
「ごめんねチャンミン...今日はもう帰る」
ブン！と繋いだ僕の手を振り払って
走って行ってしまった
「...どうして？」
うるさいくらいの看板が立ち並ぶ路地裏に
一人取り残された僕は、必死に考えた
なぜこうなってしまったのか
いつからAさんの様子が変だったのか
「Aさん...どうして？」
振り払われた手が
ジンジン熱を持っている気がして
広げた掌を見つめながら歩いた
「ダセェ、あれ。
フラれたんじゃねぇの(笑)」
「えー、あんないい男をフる女なんているのぉ(笑)」
フラれた？
僕は...フラれたの？
「あ、お前いい男って何だよ、いい男って！」
「あン...もう、何この手ぇ(笑)」
「だから入ろーぜ
もうどこだっていいだろ？(笑)」
...だとしたら
やっぱり心当たりはひとつだけ
「新崎さん」だ
彼女と親しくなってから
明らかにAさんの態度が変わった
誰より僕を優先してくれてたのに
その僕より「新崎さん」を優先するようになった
「新崎さん...新崎...ブツブツ」
もう、僕の頭の中はその人でいっぱいで
どんな人なのか知りたくて
気付くとAさんの働いているホテルに
向かっていた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
