引っ掛かる理由 ページ46
「あー！面白かったですね、Aさん(笑)」
話題通り、息つく暇もなく変わっていく展開に
正味2時間程の上映時間は
あっという間に過ぎていった
「まさかラストでああくるとは思わなかった！
ね？Aさん(笑)」
「うん」
「はぁ...帰ったら録画してあるドラマ、もう一回見直そうかな(笑)」
「そうだね」
とにかく期待以上だった映画に
興奮しっぱなしだった僕は
またしても気付いていなかった
Aさんの返事が明らかに空返事だった事に
ゾロゾロと歩く人の流れに
流されるように歩いていた僕達
「ちょっとトイレに行ってくる」
途中、Aさんが
出入口付近にある映画館のトイレへ寄った
それなら...と僕もトイレに向かい
先に出てきた僕は、近くの壁に寄り掛かって
Aさんが出てくるのを待った
その間、人の流れにさっきの彼女が見えて
あ...(笑)
目が合うと、再び顔を真っ赤にした彼女は
ペコペコとお辞儀をしながら映画館から出て行った
しばらくすると
Aさんがケータイ片手にトイレから出てきた
「うん、うん...わかった。じゃあまた明日」
すぐに僕に気付き電話を切ると
駆け寄ってきた
「ごめんね、お待たせ」
「誰からですか？」
何となく気になって聞いてみた
「...ん？新崎さん」
また、新崎さん...
女性だと聞いていても、どこか引っ掛かる人
「...もしかして
出掛け際の電話も、新崎さんですか？」
Aさんが長電話していたのを思い出した
「...え、あ、うん...」
「そう、ですか...」
「うん...」
なぜ、新崎さんが引っ掛かるのかわかった
Aさんがいつも
どこか含みのある返事ばかりするからだ
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
