真っ赤な女の子 ページ45
今日僕達が観る映画は
テレビドラマの劇場番で、今一番の話題作
日本の闇社会を舞台にしたシリアスな映画で
ドラマに引き続きハラハラする展開は
男女問わず楽しめる内容になっていると話題だ
中には人気絶頂の主演俳優目当てに
何度も映画館に通う女性もいるみたいだけど
Aさんは「彼には」興味ないみたいだから
そこは一安心
「...わぁ、やっぱりすごい人ですね」
「うん」
話題作だけあって
フロアーは人で溢れ返っていた
「チケット交換してくるよ」
Aさんが財布から取り出した前売り券を
ヒラヒラさせた
「じゃあ、僕は飲み物買ってきます。
何がいいですか？」
「んー、じゃあ爽健微茶で」
「わかりました」
Aさんと別れ、フードコーナーへ向かう
途中、僕に気付き
さっきの店員みたいに噂する人もいて
フードコーナーの前、適当な列に並ぶと
「...あ！チャンミンさ...ッ！」
前に並ぶ女の子が
僕を見て驚いたように口元を両手で抑えた
この子確か...
「あ、すみませんっ///
まさか会えると思ってなくてびっくりして...///」
そうだ、今日帰り際
僕に写真をお願いしてきたグループの中に確かいた
「こっちこそ
さっきはごめんね？急いでたから」
こんな仕事だし
声を掛けられる事も仕事のうちだと思っている
「い、いえ！そんなっ...///
私達の方こそお忙しいところすみませんでした！」
真っ赤な顔でブンブンと顔を横に振る彼女は
悪くない印象
もちろん心惹かれたりしないけど
「はぁ...暑い暑い///」
パタパタと真っ赤な顔を両手で仰ぐ仕草なんかも
「クスッ...(笑)」
可愛らしい
確か、一年生の彼女
「友達と来てるの？」
「は、はい！友達とっ///」
「そうなんだ。
やっぱり主演の彼が見たくて？(笑)」
「い、いえ！私は違います！私はチャン・・・」
「ん？」
「いえっ...ッ///」
更に真っ赤に染まる彼女の顔
「あ、あのっ
チャンミンさんは誰と・・・」
「お待たせ致しました(笑)」
そこへ彼女の順番が来た
「あ、あっ...」
僕の方をチラチラ振り返りながら前に進む彼女
アタフタと落ち着かない様子で注文し
「じゃ、じゃあ、お先に失礼しますっ///」
「うん(笑)」
僕の横を足早に通り過ぎていった
真っ赤な顔で
何度もペコペコ頭を下げる彼女を見て
名前だけでも聞いてあげればよかったかな
なんて、少しだけ思った
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
