気になる間 ページ41
「ごめんね、チャンミン。
明日は仕事の後、新崎さんとご飯に行く約束をしたから...」
まただ...
最近何かと「新崎さん」と出掛けると言っては
僕の誘いを断るAさん
同じホテルのパティシエらしく
親しくなったのはごく最近
でもあと一ヶ月程したら
海外へ研修に行く事が決まっているから
できるだけ一緒に過ごしたいんだそう
「...Aさん
ちょっと聞きたいんですけど」
「なに？」
Aさんを疑ってるわけじゃないけど
でも、ふと大介の言葉が頭を過った
-世の中、お前よりいい男なんて巨万といるんだ。いつまでもそんなで、心変わりされたって知らないからな-
そう言った大介の言葉が
「新崎さんて、ホントに女性ですか...？」
「え......女性、だよ？」
「...！！」
今の間は...なに？
もしかして、ホントは男なの？
大介の言う通り、心変わりしちゃったの？
「...ッホントのホントに、女性ですかっ？」
「うん、女性だよ」
今度はハッキリそう言い切ったAさんに
一先ず安心して
「そうですか...でも次の休みは僕との約束を優先して下さいね？」
「うん...わかった」
僕は電話を切った
それから三日後
ようやく！Aさんとの約束を取り付けた僕は
終業のベルが鳴ったと同時に教室を飛び出した
「あっ、チャンミンさん！
よかったら一緒に写真・・・」
途中、僕に声を掛けてきた女の子達も無視して
Aさんの元へ急ぐ
「...ったくもうっ！
各停とかやる気あるのか！...ブツブツ」
ガタンゴトンと
呑気な音を立てる各駅停車が憎たらしい
「Aさんの家まで快速で行け快速で！
まったく！...ブツブツ」
ブツブツと文句を言う僕の周りから
明らかに人がいなくなった気もするけど
そんなのはどうでもいい
「Casa」で一緒に食事をしたのを最後に
もう二週間近くAさんに会ってなくて
とにかく早くAさんに会いたくて
僕の頭の中は
ホントに、ただそれだけだったから
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
