大切な先輩だから ページ47
「ハァハァ...」
綺麗に整頓された部屋の
黒いシンプルなパイプベッドの上に
寝かせた斉藤さんは
相変わらず苦しそうな息遣い
「斉藤さん、大丈夫ですか？
今薬持ってきますから！」
とりあえず解熱剤を、と思い
急いで家に戻り市販の解熱剤を持ってきた
「飲めますか？」
「ん...」
それを布団の中で丸まっている斉藤さんに
なんとか飲ませた
再び横になった斉藤さんに布団を掛けてやる
すると今度は、ブルブルと小さく震え出した
熱が上がりきる前らしく、寒くて仕方ない様子
他に布団があるか聞くと
「...クリー、ニングッ」
布団をクリーニングに出すなんて
なんとも斉藤さんらしい
「...ちょっと待ってて下さい！」
仕方がないので
家から布団を持ってくる事にした
だけど薄い夏掛け2枚では
やっぱり十分でないのか
「寒い...」
そう言って斉藤さんは体を震わせた
「ハァハァ...」
荒い息を吐き
ブルブルと震え続けるその様子を見ていたら
「・・・・」
体が勝手に動いていた
「斉藤さん、入りますよ...？」
だって斉藤さんは
大切な私の先輩だから
"僕でよければ、話を聞きますよ？"
厳しくも優しい
大切な私の先輩だから
「...いいの？彼氏。
イヤだったんでしょ...？」
私の腕の中
荒い息を吐く斉藤さんにそう言われて
その瞬間、涙がどうしようもなく込み上げてきた
「いいんです、私が間違ってた...。
斉藤さんは大事な先輩だから...」
泣きながら
ギュッと抱き締める腕に力を込めた
「そっか...」
どこか満足そうに微笑む斉藤さん
その顔...
「もしかして騙しました？」
「うん、布団は押し入れにある...」
「どうしてそんな嘘を...？」
嘘なんてついてる場合じゃないのに
「言っただろ...？
君の笑顔は癒されるって...」
「え...」
「最近、見てなかったから...(笑)」
そう言って
苦しそうに微笑む斉藤さんを見ていたら
「...ッ」
涙がどうしようもなく溢れて
暖めているはずが
逆に私の方が心ごと斉藤さんに暖められていた
「許してあげなよ、彼の事...」
震える斉藤さんの優しさに包まれながら
ごめんね、チャンミン...
ごめん...
仕方がなかったと繰り返したアイツの気持ちを
今までわかってあげられなかった事を
何度もアイツに謝った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 798人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
