様子が変 ページ46
アイツがそんな事をしていた頃
私は泣きながら斉藤さんに話を聞いて貰っていた
斉藤さんはアドバイスになるような事は
何も言ってくれなかったけど
ただ、うんうんと話を聞いて貰えただけで
大分気持ちが楽になった
それからの私は、夜は大分眠れるようになったし
ご飯も少しずつ喉を通るようになった
そんな私に斉藤さんは
「竹内さん、今欠伸を我慢してましたね？
ホテルマンとしてあるまじき行為です」
仕事中は相変わらず厳しく接してきた
アイツの事を考える暇などない
そんな仕事の時間は何より気が楽で
斉藤さんのお小言も
私を見守ってくれているようで嬉しかった
斉藤さんに話を聞いて貰ってから
一週間ほど経ち
アイツとは未だ音信不通のまま
このまま遠距離恋愛によくあるカップルのように
私とアイツも終わってしまうんだろうか...
そんな最悪の結末をボンヤリ考え始めた頃
実家から、野菜やお菓子が大量に送られてきた
放任主義の母が珍しいと思ったら
案の定
「一度こういう事がしてみたかったのよぉ〜(笑)」
なんて電話越しに笑いながら言う始末
それにしたって
加減というものがあるだろ
どう考えても一人では食べきれない程の量
腐らせても勿体ないし
斉藤さんには色々お世話になっているので
お裾分けする事にした
前に私も貰ったしね
その日は休みで、斉藤さんは夜勤だった為
夕方、斉藤さんが家を出る頃を見計らって
野菜を持って斉藤さんの家へ向かった
ピンポーン
インターホンを押してばらくすると
ガチャ...
ドアが開き斉藤さんが出てきた
「あ、斉藤さん・・・」
ん、アレ？
何だか様子が...変？
顔付きがボンヤリしてるし
そろそろ出掛ける時間なのに部屋着のまま
「あの、斉藤さん...？」
そう声を掛けた次の瞬間
ガタンッ！！
斉藤さんが音を立てて
その場に座り込んでしまった
「斉藤さん！」
すぐに私もその場にしゃがみ込んだ
「ハァハァ...」
荒い息遣い、真っ赤な顔...
もしかして...
恐る恐るおでこに手を伸ばす
「...ッすごい熱！
ちょっ、大丈夫ですか？斉藤さん！」
虚ろな目で私を見た斉藤さんは
よほど辛いのか、小さく首を横に振った
とりあえず寝かせないと
「斉藤さん、入りますよ！」
一言そう断ってから中に入り
グッタリしている斉藤さんを抱えて
なんとかベッドまで運んだ
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作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
