あの時と同じ顔 ページ32
人混みの中に消えていく斉藤さんの背中を
じっと見つめていると
「...今のがもしかして"斉藤さん"ですか？」
いつの間にかアイツがすぐそばまで来ていた
ビクッ...
まさかいるとは思わなくて
いきなり話掛けられ微かに身体を揺らしてしまった
振り返ると
あの時...
瀬戸君に嫉妬した
あの時と同じ顔をしたアイツがいた
「...もしかして、今の見てたの？」
「ええ、見てましたよ？ここ...」
アイツが私の頬に触れた
「彼...ここに触れてましたね(笑)」
張り付いた笑顔
アイツがものすごく嫉妬してる証拠だ
「チャンミン...？」
怖いよ...？
「Aさんに触れていいのは
僕だけなのに...」
ゆっくり手を下ろしそう呟いたアイツは
次の瞬間
グイッ...！
私の手首を乱暴に掴んでズンズン歩き出した
「ちょっ、チャンミン！どこ行く・・・」
「もしかして彼女かな」
「そうだよ、さっきずっと見てたじゃん」
コンビニの前、すれ違い様に
さっきの女の子達がこっちを見て
そんな事を言っているのが聞こえてきた
やっぱりずっと見てたんだ...
「ね、ねぇチャンミン！
もっとゆっくりっ...歩いて！」
人混みの中を、長い脚でズンズン歩くから
今にも転びそうになる
だけど嫉妬で頭に血が上ってるアイツに
その声は届かないのか
一向にゆっくり歩いてくれる気配はない
「ハァハァッ...」
一人息を切らす私の手を引き
アイツが向かったのは私の家だった
「開けて？」
玄関の前まで来ると
アイツはようやく手を離した
「う、うん...」
ポケットに入れていた鍵を取り出し
差し込もうとした時
「...ッ！」
項に、暖かい感触が...
アイツが後ろから
私の腰を掴んでキスをしてきた
「...ッ///」
「早く...」
耳が弱いってわかっているのに
わざと耳元でそう囁いて
パクッと耳たぶをくわえるから
手が震えて上手く開けられない
「...ッ...ンッ」
私の耳を弄ぶように這うアイツの舌と唇に
ビクビクと身体を揺らしながら
ガチャ...
なんとかドアを開けた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
