イッチバン行きたかったところ？ ページ21
「ちょっとトイレに行ってくるよ」
駐車場に戻ってきた私達
そう言った斉藤さんが
広い駐車場の隅にあるトイレへ行き
私は鞄の中で再びブーブー鳴り出した
ケータイを取り出し電話に出た
pi...
「どーして返信してくれないんですか！
何度鳴らしても電話にも出てくれないし、この30分間で僕は何度死にそうになったかわかりませんっ！！」
耳をつんざくアイツの声
はぁ...
やっぱりこうなると思った
「Aさんは
僕が死んでしまってもいいんですか！！う"ぅっ...」
あ〜ぁ、泣き出しちゃった
「そんな事あるわけないじゃん。
ごめんねチャンミン。返信しようと思ったらちょうど車が到着したから...」
「グスッ、到着って
どこに着いたんですか？」
「公園だよ？海沿いにある」
「・・・・」
アレ？おかしい、返事がない
「チャンミ・・・」
「い、今...ここ、公園って言いましたか？」
ん？声が震えてる？
「言ったよ？海の側の公園」
「うう、海の、そば...」
この感じ、なんだかイヤな予感
「う、うん...」
「...ッ！！」
「あの、チャンミン...？大丈夫？」
電話の向こうから
アイツの悲痛な息遣いが聞こえて
恐る恐る聞いてみた
「...ッ、大丈夫なわけありません！
海の側の公園といったらドライブデートの定番スポット！！」
そうなの？
「僕がイッチバン！
行きたかったところです！！」
そんなの初めて聞いた
「そ、それを、僕以外の男とやっちゃうなんて...うわぁ〜ん！Aさんのばかぁ〜！」
ばかぁ〜！って
仕事で聞かれるんだから仕方ないじゃん
なんて、電話の向こうで
若干のわざとらしさは感じるものの
オーイオイと泣くアイツに言えるはずもなく
「ごめんね、チャンミン。
そっちに戻ったら一緒にドライブデートしよ？」
ただ謝るしかなかった
「う"ぅ...やぐぞぐ、ですよ？グスッ...」
泣きながらそう返すアイツ
「うん、わかった。約束ね」
一先ず事態が落ち着いたところで
ちょうど斉藤さんが戻ってくる姿が見え
「あ、もう出発だから切るね」
「あっ、どんな公園だったか写真を送って下さい！この先も、ずっとですよ！」
アイツからのダメ押し
この先もずっと...
「・・・・」
若干面倒くさいと思いつつも
他の男の人と出掛けてるのは事実だし
「わかった、じゃあ後でね」
仕方なくそう返事をして電話を切った
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作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
