逃げ出せなくて ページ1
「Aさん、来ちゃった...」
あの後
私が必死に斉藤さんの事を説明している間に
到着した新幹線に乗り込んだアイツは
斉藤さんはただの会社の先輩だと
理解したにも拘わらず
引き返す事をせず、私に会いに来た
最寄り駅の改札で
半ば呆れ気味に待ってた私に
「会いたかった...」
そうおでこを重ねて囁く声は
この上なく甘くて
会ったら言ってやろうと思っていた小言は
「うん...」
愛しさに変わった
大学もあるし、バイトもあるから
朝イチの新幹線で帰ると言ったアイツと
手を繋いで家へ向かう
途中コンビニで歯ブラシと下着
そして...
「これがないと今夜来た意味がなくなっちゃう」
「...///」
今の私達が愛を確認する為には
欠かせないモノを買って家へ帰った
「ここがAさんが3ヶ月住むところかぁ...
なかなかいい部屋ですね(笑)」
部屋に入るなりぐるっと見渡して
そう言ったアイツ
ガラッとベランダの窓を開けて呟いた
「あそこが斉藤の住んでるところか...」
「・・・・」
いやいや、斉藤って
呼び捨てになってるし
やっぱり嫉妬剥き出しか
「はぁ...」
アイツに気付かれないよう
小さくため息をついた
「あ、ねえチャンミン。
もう遅いしお風呂入って？」
窓の外を眺めてるアイツの背中に呼び掛ける
「...やです」
「えっ？」
「いやです」
「いや？」
「はい」
クルッと私の方に向き直ったアイツが言ったのは
耳を疑うような事
「今夜はお風呂に入りません」
・・・は？お風呂に入らない？
「なに言ってるの、チャンミン。
変な事言ってないで早く入って？」
「いやです」
「いや？だからなんで？」
何故そんな事言うのか訳がわからず首を傾げると
アイツがこっちへやって来た
「チャンミン？」
目の前に立ち
「えっ...」
そっと腰に回した腕で私を抱き寄せたアイツは
見上げる私に囁いた
「またしばらく会えなくなるから
覚えておきたい、Aさんの匂い...」
「え...」
私の...匂い？
そんな事を言われて
ドクンッ！と心臓が高なり
一気に鼓動を早める
「...ッ///」
「だから...
Aさんも覚えておいて？僕の匂い...」
ぎゅっと抱き締められた首筋で再び囁かれた
その、甘い甘い囁きから
「A...」
誰より色っぽい男になったアイツの
逞しい腕の中から
逃げ出すなんて出来なくて
そのまま二人でベッドに沈み込んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 798人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
