アイツと旅行8 ページ8
「はぁ...」
お店を出てから
ため息ばかりついているアイツ
女の子の声が聞こえてくると
それだけで体をビクつかせ警戒している様子
こんなんじゃただ疲れるだけで
観光なんてできそうもないし...
「ねぇ、チャンミン。
ちょっと早いけど、今日はもう旅館に行ってゆっくりしよっか？」
「...え」
「明日も一日あるんだし、そうしよ？(笑)」
「...はい！(笑)」
私の言葉に、アイツはあっという間に
ほっぺをツヤツヤに復活させると
「そうと決まったら急ぎましょう！」
そう言って私の手を引き
ズンズン！歩き出した
ただでさえ無駄に長いアイツの脚
スピードが速すぎて
足がもつれそうになった
「ちょっと、チャンミン！もっとゆっくり歩いてよ！転びそうなんだけど...あっ！」
案の定、次の瞬間
ズサァッ...！！
僅かなアスファルトの段差に足を取られ
転んでしまった
「...った〜」
「Aさんっ！」
すぐにアイツもその場にしゃがみ
体を起こしてくれた
「大丈夫ですか！」
「うん...」
「ごめんなさいAさん。
僕、早くAさんと二人きりになりたくて...」
手についた砂利を
半分泣きそうになりながら払ってくれる
「ケガしてないですか？」
「うん、大丈・・・」
「あっ！」
「えっ？」
「血が、出てる...」
見ると擦りむいた膝から
少しだけ血が滲んでいた
どうりでジンジンするわけだ...
でも、人通りもあるし
こんな所に座り込んでいい加減恥ずかしい
「だ、大丈夫だから、行こっ...？」
ちゅっ...
えっ...
するとあろうことかアイツが
慌てて立ち上がろうとした私の膝に
突然キスをしてきた
「！！！」
驚く私にお構いなしに
両手で太ももと脹ら脛を掴み、抱えた私の膝に
ちゅっ...
ちゅっ...
まるで傷口を綺麗にするかのように
何度も何度も唇を落とすアイツ
「ちょっ...チャンミン！」
ここはたくさんの人が訪れる観光地
...グイッ！！
「えっ...」
今度は私がアイツの手を引き
猛スピードでその場を後にした
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作者名：ami
| 作成日時：2014年9月25日 15時
