アイツと旅行6 ページ6
その後も隣の席では
「ねぇ、チャンミン君は
長いのと短いのどっちが好き？」
「僕はAさんの髪型が好きです」
「もう！」
「まぁまぁ、怒らない怒らない。
でもホントはどっち？」
「だから
僕はAさんの髪型が好きです」
全く噛み合わない会話が
度々三人の間で繰り広げられ
電車が目的の駅に到着する頃には
「ホント...
チャンミン君って変わってるよね」
「ねー。何を聞いても自分の彼女が好きって、普通言わないよね」
アイツはすっかり
「人気急上昇中のモデル」というメッキが剥がれ
ただの変わり者になってしまった
二人からの容赦ない質問攻めに合ったアイツ
たった一時間程で
すっかりゲッソリしてしまい
「人気急上昇中のモデル」の面影は
その外見からも最早ミジンコも感じられない
数時間前、ツヤツヤのほっぺを輝かせ
「ついに来ましたよ、この日が！(笑)」
そうはしゃいでいたアイツは一体どこへ？
「チャンミン...大丈夫？」
「はぃ...」
弱々しい声に、がっくり下がった撫で肩
この日の為に買ったおニューのリュック
ちゃんと背負えてないし
ちょっと可哀想だったかな...(誰？今更？って言ったの)
あとあと面倒臭い事になってもヤダし
ここはひとつ
アイツの機嫌を直さないと！
「あの！」
ゾロゾロとバスターミナルへ向かって歩く
皆の背中に声を掛ける
「私達はここで失礼します！」
「...え」
俯きがちに歩いていたアイツが
皆と一緒に振り返り
生気のない瞳をこちらへ向けた
「でも泊まる所も一緒だし...
バス、もう来るよ？」
マミさんが言った
「そうなんですけど
ちょっと寄りたい所があるので」
それを聞いたアイツの顔が
みるみる明るくなるのがわかる
そんなアイツの手を取り
「ねっ？チャンミン(笑)」
そう言うとアイツは
ツヤツヤのほっぺを輝かせ
「はい！(笑)」
心底嬉しそうに笑った
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作者名：ami
| 作成日時：2014年9月25日 15時
