愛しすぎて止まらない ページ44
「...もしもし？」
「あの、今平気ですか？」
僕の番はまだだから
「うん...」
「あの...Aから聞いたんですけど、二人が別れたって...」
...別れてなんかない
結婚するんだ、Aさんと
その為にこうしてバイトだって...
「チャンミンさんは本当にもう
Aの事好きじゃないんですか？」
「だからそんな事ない！
結婚するんだ、僕は！Aさんとっ...！！」
勢いよく立ち上がり、叫び声を上げた僕に
ここにいる人全ての視線が集まる
当然だ、自分でもわかってる
今の僕が普通じゃない事くらい
でも、とてもじゃないけど受け入れられない
こんな現実
「...A、言ってました。
別れていいの？って聞いた僕に、こればっかりは仕方ないって、そう言ってました」
え...
「Aはまだ
チャンミンさんの事が好きなんです」
Aさんが...まだ、好き？
愛想を尽かしたんじゃ、なかったの...？
ケータイを持つ手が途端に震え出した
「でも、チャンミンさんの気持ちが自分にはもうないから...だから別れるのを決めたんです。仕方ないよって、自分に言い聞かせて」
「・・・・」
どうして...
どうして気付かなかったんだろう
"今までありがとう、チャンミン(笑)"
そう言って僕に向けたあの笑顔に
どれだけの愛情が込められていたのか
Aさんは誰より優しい人だって
僕が一番知っていたはずなのに
「...Aっ」
愛しすぎて、涙が止まらない
今すぐ抱き締めたい
「...A」
静まり返った控え室
止まらない涙を流す僕にユウちゃんは続けた
「実は今日この後
A...部屋を見に行くんです」
...部屋？
「職場の人とシェアハウスを考えてるみたいで」
「え...」
「通勤時間を楽にするために、ホテルの近くで探すって言ってました。でも...その相手が男なんです」
男...
ドクンッ...！
その単語を聞いた瞬間
心臓が激しく音を立てて跳ねた
「チャンミンさんがまだAを好きなら止め・・・」
ユウちゃんが言い終わる前に
僕は部屋を飛び出した
「ハァハァッ...！」
走りながらAさんのケータイに電話したけど
繋がらない
Aさん...！
気持ちばかりが焦る中
ようやく着いたAさんの家の前
何度もインターホンを押し
出てきたお母さんに直ぐ様聞いた
「Aさんはっ！ハァハァッ...」
「Aなら、出掛けたけど」
「どこへですか！」
「駅前の不動産屋に」
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作者名：ami
| 作成日時：2014年9月25日 15時
