そんなの当たり前 ページ38
「まだ、5分しか経ってない...」
昨夜から
時間が経つのがやたら遅く感じる
こんなんで
いつまで掛かるかわからない時間を待てるのかな
「はぁ...」
何もやる気が起きなくて
ベッドの上でゴロゴロしていたら
ピーンポーン
「よっ！」
隼人が来た
「こんな事じゃないかと思ったよ」
昨日の格好のままの僕を見て
呆れたように小さくため息をつく
「何か...飲む？」
「いや、いらない」
ソファに座った隼人の隣に腰を下ろした
「ちぃのお見舞いに行ってきたよ」
えっ！Aさんの！
「どうだった！」
僕は慌てて隼人の方に身を乗り出した
「午後には退院できるって言ってたよ」
その言葉に
ホッと胸を撫で下ろす
「よかった...(笑)」
そんな僕を隼人がじっと見つめてきた
「なに？」
「やっぱりお前
ちぃの事まだ好きだよな」
は？
「何言ってるの隼人。
そんなの当たり前でしょ」
「だよな。キスだってあの家政婦からの一方的なものだったみたいだし」
「えっ？何で知ってるの？」
「ちぃから聞いた。
家政婦が謝りに来たって」
「Aさんが？」
「あぁ」
そっか、謝りに行ったんだ...
「はぁ...」
Aさん、どう思ったかな
僕に...また愛想尽かしちゃったかな
「なぁ」
「...ん？」
「あの家政婦に心変わりしてないなら
何で誤解されるような事したの？」
「誤解...？」
「あぁ」
誤解...あっ！
「そうだよ隼人！どうしてAさんは僕が心変わりしてるなんて言ったの？」
そんな事あり得ないのに
「は？だからそれは、お前があの家政婦を可愛いって言ったり、頭ポンポンなんて撫でたりしたからだろ...」
えっ...
「そんなの見れば、お前の性格上心変わりかもって疑って当然なんじゃないの？」
そんな事、思ってもみなかった
僕はただ...
彼女が...
「あっ、こうも言ってたな。
初めて会った時から様子がおかしかったって」
「初めて会った時から...？」
「あぁ」
「じゃあ、Aさんは最初からずっと不安に思ってたって事？」
「そうなるな」
そんな...
僕はまたやっちゃったんだ
Aさんを不安にさせないように頑張るからって
そう、確かに言ったのに
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作者名：ami
| 作成日時：2014年9月25日 15時
