そんな事ないよね ページ26
「はぁ...愚か者だよねぇ」
いくらアイツが私との時間より
富永さんとの時間を優先させたからって
それだけでアイツを疑うなんて
富永さんを想う
アイツの優しさでもあるのに...
「愚か者だよねぇ...」
「・・・・」
「はぁ...」
「ねぇ...」
「...ん？」
「さっきから一体何なの？愚か者愚か者って」
「へ...？」
「へ？じゃなくて、はぁ...
確かに今のAは愚か者だよね」
やっぱり...
「もうすぐ引き継ぎが始まる時間なのに
メモも取ってないんだから」
ん？メモ...？
・・・ハッ！！
そうだったそうだった
ヤバイ、ヤバイ...
呆れた様子のあやの言葉で我に返った私は
慌てて書いたせいで
まるでミミズが這いつくばってるような字が並ぶ
解読不能なメモを手に
なんとかその日の仕事をこなした
「はぁ...」
ため息をつきながら帰る帰り道
「Aさん！」
後ろから声を掛けられた
「今帰りなの？」
富永さんだった
「...はい(笑)」
あっ、今ちゃんと笑えてたかな...？
「今からチャンミンの家に？」
「うん」
そっか...
はぁ...
でも仕事だし、仕方ないよね
「ねぇ、ご飯まだだよね？」
今日は残業なしだったから、時刻はまだ6時前
「はい」
「それなら一緒に、どうかな？」
「えっ？」
「実家からたくさんお素麺が送られて来たから、色んな具を用意して素麺パーティー？(笑)でもやろうかと思って」
「素麺パーティー？」
「あっ、もしかしてもうチャンミン君から誘われてる？」
「...いえ」
誘われてなんかない
「あっ、用事がある...とか？」
「いえ、ないです...」
「じゃあ、どうかな？(笑)」
私が行ったら
アイツはがっかりするんだろうか
・・・そんな事、ないよね
これから誘ってくれるつもりなのかもしれないし
「Aさん？」
「あっ、じゃあお言葉に甘えて...(笑)」
「うん！(笑)」
こうして、不安な気持ちを抱えたまま
私は「素麺パーティー」に参加する事になった
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作者名：ami
| 作成日時：2014年9月25日 15時
