アイツと旅行11 ページ11
スゥ...スゥ...
僕の腕の中
小さな寝息を立てて眠るAさん
遠く、窓の外から
日暮の鳴き声が聞こえる
「A...(笑)」
夏の夕暮れの
幸せな、幸せな時間
スゥ...スゥ...
僕に全てを預けて
スヤスヤ眠るAさんが可愛くて仕方ない
「...あっ」
ふと見ると、キレイに切り揃えられた爪が
親指だけ深爪になっていて
「ふふっ...(笑)」
そんな所も、とても愛おしい
ちゅっ...
僕はそっと
その親指にキスをした
もう、Aさんを形作るすべてのものが
愛しくて堪らなくて
まさかこんなにも
Aさんを愛する事になるなんて
出会った頃には想像すらできなかった
でも、不思議だな
Aさんの存在は一年の頃から知っていたのに
あの頃は廊下でスレ違っても
友達と楽しそうに笑ってるところを見ても
なんとも思わなかった
今考えると
なんて信じられない事をしていたんだろう
あの頃のAさん
何となく覚えてるけど...
今よりもっとあどけなくて
きっと、すっごく可愛かったんだろうな
その頃のAさんを知ってる人が
羨ましい・・・を通り超して
憎たらしい
「はぁ...」
できる事ならあの頃の僕に教えてやりたい
僕が心から愛することができる人が
すぐそばにいるんだよって
その人といると僕は
心から幸せなんだよって
その人は、竹内Aさんだよって...
そう、教えてやりたい
「A...」
僕の...
誰より、誰より愛しい人
ちゅっ...
「・・・・」
ちゅっ...
「・・・・」
ちゅ〜っ！！
愛しさが止まらなくて
その可愛い唇に思いきりキスをしていると
RRRRR...
「ん？電話だ...」
部屋の電話が鳴った
「う、ん...」
「Aさん？」
スゥ...スゥ...
よっぽど疲れたのか
全然起きる気配のないAさんをそっと抱き上げ
カウチに運び電話に出た
RRR・・・
「はい」
「お寛ぎ中申し訳ございません」
フロントからだった
「・・・それでご夕食なんですが」
「...え？」
今この人...
「それでは失礼致します(笑)」
何て言った...？
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作者名：ami
| 作成日時：2014年9月25日 15時
