駅前の映画館 ページ30
社会人と大学生
異なる環境に身を置き
初めて迎えたスレ違いをなんとか乗り越え
以前のような関係に戻った私達
いや、以前よりもラブラブになった私達
・・・だったはずなのに
「ねぇ、チャンミン
いい加減機嫌直してよ」
さっきからずうっとご機嫌斜めなアイツ
「ねぇチャンミン...」
私の何度目かわからない呼び掛けに何も答えず
ソファの隅で膝を抱え体育座りをしている
思いきり口を尖らせ
クリクリの瞳は半開き
はぁ...まったく
アイツがこんな面倒くさい事をしているわけ
それはさっきまでここにいた
皆の会話が原因
今日は土曜日
約束通りみな達とアイツの家に集合して
ワイワイ楽しんでいたのだけれど...
.
事の発端は
「そういえば
駅前の映画館、来月で閉館だね」
みなのこの一言
私達が子供の頃からあるその映画館は
駅の南口にあり
映画を観るならここと言った感じで
この辺りに住む人なら
多分一度は足を運んだ事がある場所
もちろん私もそうで
アイツと一緒に行った事だってある
だけど一年程前
駅北の商業施設内に新しい映画館ができ
お客さんの多くがそっちへ流れてしまい
ついに来月、閉館する事になってしまった
それぞれの思い出話に花を咲かせ
「あそこが初デートの場所だったヤツ、結構いるよな」
何気なく飛び出した平岡君の一言
「あっ、俺そうだよ！(笑)」
それに隼人がニコニコ顔で答えた
すると次の瞬間
ビクッ！！
隣に座るアイツの体が大きく揺れた
・・・ヤバイ
なぜって隼人が言った初デートの相手は
私だったから
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作者名：ami
| 作成日時：2014年3月21日 0時
