熱い唇 ページ20
「Aっ...」
抱き締められた瞬間
今まで無意識に感じていた緊張から
フッと解放され
崩れるように玄関に座りこんでしまった
そんな私を
床に膝をついて抱き締めるアイツ
その腕も...
「Aっ...」
私の頭を受け止めるその胸も...
いつもより熱くて
「Aっ...」
泣きながら私の名前を呼ぶアイツに
言葉が、出ない...
少しだけ苦しくて顔を上げると
アイツの肩越しに見える一之瀬さんが
涙で滲んで見えた
チャンミンは絶対渡さない
ゆっくり伸ばした両手で
ぎゅうっとしがみつくように
アイツの背中を抱き締めた
やがて聞こえた
アイツの呟くような声
「ごめんなさいAさん...
ごめんなさい...」
チャンミン...
謝るのは私の方
そう思ってゆっくり体を離すと
涙で濡れたいつもより赤いアイツの顔が見えた
その顔に苦しいくらい胸を締め付けられる
「チャンミンごめんね...？
こんなになるまでチャンミンを追い詰めて」
ちゅっ...
すると零れる私の涙を
アイツが唇で優しく拭った
「チャンミン...」
ちゅっ...ちゅっ...
何度も何度も
アイツの唇が私の涙を拭った
「チャンミン...」
ちゅっ...
「一之瀬さんが」
ちゅっ...
「いるのに...」
流石に恥ずかしくなって
アイツに訴えると
「Aさんが泣いてるんだ
誰がいようとそんなの関係ありません」
そう言ってアイツは再び私に顔を寄せた
久しぶりに聞いた
アイツらしいセリフに
チャンミン...！
堪えきれなくなった涙を
アイツの唇が優しく拭った時
パタン...
一之瀬さんがこの部屋を出ていった事を告げる音が
私の背後で静かに鳴り響いた
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作者名：ami
| 作成日時：2014年3月21日 0時
