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ただ一人 ページ14
RRRRR...
「ん...」
電話だ...
電話が鳴ってる...
RRRRR...
「Aさ...」
電話を取ろうとして伸ばした手
その手を
ふわっ...
優しい温もりが包む
Aさん...
きゅうっ...
やっぱり！
握り返してくれた
「Aっ...！」
カバッ！
勢いよく体を起こすと
目の前がクラッと揺れて
「大丈夫...？」
すかさず僕の体を支える
一之瀬さんがいた
「え...」
どうして...一之瀬さん？
Aさんじゃないの？
「シム君、大丈夫？」
「...うん」
それよりどうして一之瀬さんがここに？
「よかった...(笑)
シム君急に倒れるんだもん、ビックリしちゃった」
・・・そうだ、思い出した
昨日見た光景があまりにショックで
一人になりたくて向かった書庫
そこでたまたま会った一之瀬さんに
助けて貰ったんだ
「ねぇ、シム君
ちょっと聞きたいんだけど...」
そう言いながらタオルをお湯で濡らし
僕の汗を拭いてくれようとする一之瀬さん
今ここにいるのが
今ここにいるのがAさんなら...
「シム君？」
触れて欲しいのは
Aさん...
ただ一人だけ
「ありがとう、大丈夫だよ」
「え...」
僕はこっちへ伸びた一之瀬さんの手から
そっとタオルを抜き取り
「それより、聞きたい事って何？」
彼女の好意をさりげなく断って
話を聞く事にした
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作者名：ami
| 作成日時：2014年3月21日 0時
