何でこんな事に ページ1
「Aさん...
明日ホントに行くんですか...？」
電話の向こうから聞こえる
アイツの弱々しい声
「行くよ？」
「そうですか...」
さっきから何度か繰り返されている
このやり取り
なぜかはわからないけど
どうやら明日私があやの家に泊まりに行くのが
気に入らないらしい
「はぁ...」
耳に響く、アイツの小さなため息
なんでそんなにイヤなのか
私も理由を聞けばいいんだけど
あの夜の事がショックで
なんだかそんな気すら起きなくなってしまった
「じゃあ、明日も早いからそろそろ切るね」
「...はい」
「じゃあ、おや・・・」
「あっ！」
「なに？」
「Aさん...僕の事...」
「なに？」
いくら待っても
続きを言わないアイツ
「...なんでもありません」
「じゃあね、おやすみ」
「おやすみなさい...」
アイツが言いたい事はわかってる
「僕の事好きですか？」
そう聞きたいんだよね
だけどあえて気付かないフリをする
なぜって
心から「好き」って言えないから
もちろんアイツの事は好き
だけどアイツの言った
「そんなに気に入ったなら
一之瀬さんにも買ってきてあげるよ」
その一言と
「ホントだよねぇ〜。
この間だって二人仲良く書庫から出てきて」
という事実が
胸の奥で疼いて
アイツに心から
「好き」と伝えられない自分がいる
何でこんな事になっちゃったんだろう
「はぁ...」
今夜もまたため息をついて
私はベッドに潜り込んだ
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作者名：ami
| 作成日時：2014年3月21日 0時
