僕をおいていかないで ページ49
「彼女帰ったのか？」
「うん、用事があるみたいで...」
「そうなんだ、ガッカリ。
シム君の彼女興味あったのにな、ね？繭」
「うん...」
さっきのAさん...
「シム君？」
「え...？」
「座れば？」
Aさん...
「やっぱり僕...」
「え？」
「Aさんを駅まで送ってくる！」
「えっ、ちょっとシム君！？」
呼び止める一之瀬さん達を残して
僕は店を飛び出した
何となくだけど
「うん、じゃあね...(笑)」
そう言ったAさんの笑顔が
今にも消えそうな気がしたんだ
「ハァハァ...」
急いで駅までの道を追いかけた
いた！
「Aさ・・・」
えっ...
待って、一緒にいるのは誰？
「Aさん...」
ビシッとスーツを着こなした
背の高い男
ドクン...！
心臓がイヤな音を立てた
どうして...？
僕の目の前で楽しそうに笑う二人
どうして？その人は誰？
会社の、人...？
僕とさほど年は変わらなそうだけど
スーツに身を包んだその男性は
何だかすごく大人に見えて
隣にいるAさんも
いつもと違い、大人に見えた
Aさん...
僕よりも大人でお似合いの二人に
声を掛ける事ができなかった
「・・・・」
だけどAさんは言ってくれた
"ホントだよ(笑)
チャンミン以外に好きな人なんていない"
...大丈夫、不安になる事なんてない
「Aさ・・・」
でも次の瞬間
Aさんから聞こえてきた言葉に
声を掛けようとして伸ばした手が止まった
「やっぱり田中はしっかりしてるね。
田中みたいに大人な彼なら、彼女は安心して甘えられるよね(笑)」
彼みたいに「大人な彼氏」なら...
「まぁ、アイツを甘やかした結果がこれだけどな」
「ふふっ(笑)」
徐々に小さくなる二人
待ってAさん
僕を
おいていかないで
「同期の家に泊まりに行くんだ」
お願いだから
一人で大人にならないで
ずっとずっと、僕のそばにいて
僕の足は
まるで根っこが生えたみたいに動かなくて
「あっ...」
ついには二人の姿が
見えなくなってしまった
「Aさん...」
俯いた先には
二人を追いかける事もできない
役立たずな両足
「Aさん...」
お願いだから
僕を、おいていかないで
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 527人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
