現実になったセリフ ページ47
「よし！」
気合いを入れて席に向かうと
「え...」
4人掛けのテーブル全ての席が埋まっていて
アイツの隣には
一之瀬さん...？
とにかく楽しそうに皆で笑い合っていた
さっきトイレで練習したセリフが
まさしく現実になった
チャンミン...
何だか知らない人みたい
アイツの元へ向かう足が
自然と遅くなる
チラッ...
ん？目が合った？
するとほんの一瞬
私の方を見た一之瀬さんが言った
「シム君、この間の柚子茶ホントに美味しかった」
...柚子茶って、あの柚子茶？
「ホントに？」
「うん(笑)」
「そんなに気に入ったなら
一之瀬さんにも買ってきてあげるよ」
え...
「ホントに！嬉しい、ありがとう(笑)」
「はぁ...お前らホントに仲がいいよな。
いっその事付き合っちゃえば？」
「・・・・」
...大丈夫、アイツは私の事が好き
"絶対僕と結婚して下さいね(笑)"
目を閉じ、自分に言い聞かせた
そのままの勢いでアイツの元へ戻ろうと
止まっていた一歩を踏み出した時だった
「ホントだよねぇ〜。
この間だって二人仲良く書庫から出てきて」
...書庫？
聞こえてきた言葉に
再び足が止まった
「あんな所で何やってたんだか」
...あの場所は
アイツのお気に入りの場所
「Aさんだけですよ...
だって僕だけの秘密の場所だから(笑)」
私だけに教えてくれたんじゃなかったんだ
ドクン...ドクン...
鼓動と共に痛む胸が苦しくて
その場から動けなくなってしまった
「Aさん！(笑)」
そんな私に気付いたアイツが
笑顔で手を上げた
チャンミン...
「ちょっとごめん」
同席している皆に一言断り
満面の笑みで私の方へ向かってくるアイツ
「たまたま大学の友達がいて(笑)」
嬉しそうな声
「皆に紹介するから来て？」
グイッ...
私を誘うアイツの手
だけど、今は無理
そっと繋がれた手を解いた
「...ごめん」
「え？」
「さっきお母さんから電話があって
夕飯で使うお醤油を今すぐ買ってきて欲しいって言われちゃった...」
「そうなんですか？」
「...うん、だからまた今度」
「わかりました。
じゃあ、鞄取ってきます」
「うん、ありがとう...(笑)」
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
