スカウト ページ32
渡された名刺には
「東方...プロダクション？」
大手芸能プロダクションの名前が
書かれていた
「突然ですけど
モデルに興味はありますか？」
僕の顔を見てそう尋ねる男性
「モデル...？」
「はい(笑)」
今までモデルに興味を持った事など
正直、一度もない
「いえ、別に」
「そうですか(笑)」
「はい...」
でも、何かアルバイトをしたいとは思っていた
ちょっと気が早いけど
Aさんとの結婚資金を貯める為に
僕は丁寧な物腰で話すその男性から
一通り説明を受け
「じゃあ、ご連絡お待ちしてます(笑)」
とりあえず名刺だけ貰って
その場を離れた
「すごいねシム君！
私、スカウトなんて初めてみたよ！」
男性が見えなくなった途端
僕の隣で一緒に話を聞いていた一之瀬さんが
少しだけ興奮気味に口を開いた
「はぁ...モデルかぁ、すごいなぁ」
すごい事なんだろうか
「シム君、この話受けるの？」
「...わからない」
確かに
アルバイトを探してはいたけど
いきなりモデルなんて
正直ちょっとびっくりしたし
それに、僕にできるんだろうか
手にしていた名刺を見ながら
そんな事を考えていると
一之瀬さんが声を弾ませた
「そっか、でもシム君ならスタイルいいし
すごくカッコイイから・・・」
「え...？」
カッコイイ？
一之瀬さんの言葉に思わず反応してしまい
名刺から彼女へ視線を移した
「あっ！私っ...ちょっと支払いがあるんだった！ゴメンね、ちょっといい...？///」
その途端、少し赤い顔をした彼女が
僕の返事も聞かず
目の前のコンビニに走っていった
RRRRR...
そこへ鳴り響いたケータイ
Aさんからだった
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
