キャンパスデート8 ページ22
「あっ、川がある！」
よく見ると、家と家の屋根の間に
太陽の光を反射してキラキラと光る小川が見えた
行き交う人も車もほとんどなく
「静かだね...」
「はい」
耳を澄ませば
キラキラ光る小川の音が今にも聞こえてきそう
「Aさん、ここに座って？」
そう言われて閉じていた目を開けると
いつの間に座ったのか
アイツがイスの上で
ポンポンと自分の脚を叩いていた
「え...」
そこに？
「早く！」
一瞬座るのを躊躇った私の腕を
グイッと引き寄せたアイツは
あっという間に私を自分の腕の中に抱え込んだ
座ると机の前に作り付けてある本棚が
丁度いい目隠しになって
完全に二人だけの世界
私のお腹に回されたアイツの腕と
背中に感じる温もり
それから...
「ふふっ、Aさん柔らかい...(笑)」
耳元に感じるアイツの声が
少しだけくすぐったい
「ねぇ、チャンミン」
「何ですか」
「ここにいると、賑やかなキャンパスにいるのがまるで嘘みたいだね」
「そうですね」
古い本の香りが漂う書庫
柔らかな日差しが差し込む
アイツお気に入りの場所は
「なんだかすごく落ち着く...」
窓枠に腕枕を作って
時間を気にせず
のどかな外の景色をずぅっと眺めていたい
アイツがこの場所を
お気に入りだと言った理由がわかった
穏やかな時間が流れるこの場所は
一人なんだけど
一人じゃない
そんな風に感じられる
温かい場所
例え友達がいたとしても
ここに足を運びたくなるような
そんな不思議な場所
「チャンミン、教えてくれてありがとね」
そう言って振り返った私の唇に
ちゅっ...
一瞬重なった温かい感触
「Aさんだけですよ...」
アイツが私のお腹に回していた左手で
そっと私の頬を包んだ
「だって僕だけの秘密の場所だから(笑)」
「ふふっ、ありがとう...(笑)」
賑やかなキャンパスにひっそりと存在する
アイツのお気に入りの場所
そんな秘密の場所で
柔らかな春の陽射しを感じながら
ちゅっ...
「「...(笑)」」
ちゅっ...
「「ふふっ(笑)」」
何度も何度も
ちゅっ...
「Aさん、大好き...」
アイツと二人
幸せを重ね合った
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
