「繭ちゃん」 ページ29
最近アイツの口からよく聞く名前
「一之瀬さん」
どうやら小学校の同級生みたいなんだけと
申し訳ない事に、私には彼女の記憶が一切ない
その理由のひとつに
「親の離婚で小学生の頃とは名字が変わっている」
というのがあるんだけど
それでも「繭ちゃん」
なんて名前の子は私の記憶にはなく...
「いらっしゃいませ、２名様ですか？(笑)」
「はい」
「ではこちらにどうぞ？(笑)」
高校を卒業し
地元の企業に就職したみなに
たまたま休みが重なった今日
新しくできたカフェでお茶でもしながら
「繭ちゃん」について聞いてみる事にした
「繭ちゃん？...う〜ん、言われてみればそんな名前の子がいたような気がする」
メニューを開きながら
そう答えたみな
「そうなんだ...
私、全然記憶になくって」
「う〜ん...私も確かではないけどね」
「そっか」
私達の小学校は、一学年4クラスあった為
やっぱり途中で引っ越してしまった彼女の事は
みなもハッキリ覚えてないらしい
「何？A、彼女の事気になるの？」
「う〜ん、女の子だし
気にならないと言えば嘘になるけど...」
「けど？」
「けど...チャンミンに友達ができた事を考えれば、嬉しい気持ちの方が勝つかな」
「ふ〜ん...
相変わらずシム君には甘いのね」
甘い
甘い...
果たして私はアイツに甘いんだろうか
「私なら、そんな他の女としょっちゅう一緒にいるなんてちょっと我慢できないけどな」
「そうかな？」
「そうよ」
「う〜ん...」
みなの言うことはよくわかるけど、でも
「まぁ、チャンミンが楽しいなら
私は別にいいかな...」
「まぁ、Aがそう言うなら...」
そう言ったみなは
「でももし何かあったら言いなよ？
その時はまた大介にガツンと言って貰お？(笑)」
最後に冗談交じりにそう付け加え笑った
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
