思いがけない言葉 ページ27
Aさんが大学に来てくれた翌日
いつもより軽い足取りで
大学までの道のりを歩いていた
昨日ここでキスした時
可愛かったな、Aさん
ほっぺだけじゃなく耳まで真っ赤にして
どうしてあんなに可愛いんだろう
おまけにすごく優しいし
僕の事をお願いしますって
真鍋さんに言ってくれたの本当に嬉しかったな
お弁当を食べていた時だってそう
いつだってAさんは
何気ない一言で
僕を堪らなく幸せな気持ちにしてくれる
Aさん...
なんだか
無性に声が聞きたくなってきた
昨夜はご飯を食べて大人しく家に帰ったし
...よし！
繋がるかわかんないけど電話してみよ
そう思ってケータイを手にした時
「おはよう、シム君」
後ろから一之瀬さんが声を掛けてきた
「・・・・」
自惚れるわけではないけど
「もしかして一之瀬
シムの事が...好き？」
この間の杉本の言葉を思い出し
もちろん僕にそんな気はないから
「おはよう...」
それだけ言って
手にしていたケータイを鳴らそうとすると
一之瀬さんが口を開いた
「昨日一緒にいた可愛い人...
もしかして彼女？」
可愛い人って...
「Aさんのこと？そうだよ？」
「やっぱりそっか...」
そう言ったきり彼女が黙ったので
今度こそ電話をしようと通話ボタンを押した
RRRRR...
鳴り響く呼び出し音
やっぱり繋がらないか...
でももうちょっとだけ
諦めきれずに電話を鳴らす僕の隣で
ずっと黙っていた彼女
「あのね、シム君...」
その口から
思いがけない言葉が飛び出した
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
